助けてあげられなくて、本当にごめん。

うるうるうるる
「やっぱり水は、綺麗なんだぞ…!」

息抜き落書き牡丹
ツインテールって、難しいなぁ。

きらきらした瞳が、大好きです。
ぐるぐる渦巻く瞳も、好きです。

↓↓ちょっとグロイ話注意↓↓最低な人間=私

今は雨なんですが、昼間は曇りでした。

なんとなく、散歩に出ました。
ついでに、コンビニに寄りました。
ふらふらな足取りで、帰路に着き、その途中。
視界を灰色の物体が霞めました。

「?」

小さなそれは、微かに動いてました。
よくよく近寄って見ると、それはツバメのひなでした。
見上げれば、立派な巣の中に、兄弟と思われるひなたちがびしーり整列して、
親の帰りを待っています。
空から雨粒が、ぽつりぽつりと降ってきました。
ひなのいるところは屋根があり、かろうじて雨は防げるようでした。

ひなを巣に戻してあげたい。
だけど、とてもじゃないが届かない、高い位置にある巣。
むしろ、
よくぞあそこから落ちて、まだ動けるものだ、と感心さえしました。
まだまだ飛べるどころか、立つこともままならないひなは、足をもつれさせます。

私はそこに10分くらい立ち尽くして、
結局助けてあげられませんでした。
どうすることも、できませんでした。
踵を返す足が、ものすごく重たかったのを覚えています。

私に、何ができたのか。
ひなを拾って、連れて帰ればよかったのか。
中途半端な思いでは、できませんでした。


甘ったれた性分の私は、

自然って厳しいものなのだな、と

家に帰り、

ぼんやりと、

感傷に浸ったのです。



…コンビニで買った、

鶏の唐揚げを食べながら。




…ほんと、外道でごめん。



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テーマ : ほとんどノンフィクションストーリー
ジャンル : 小説・文学

NO SMOKING!

NO SMOKING
NO SMOKING!

~堂内は、禁煙です~


「このくそせめぇ店でタバコなんざ、放火犯とほぼ同義だぞ。」

画像でかすぎた^q^


はちは、たばこ吸いません。(金銭的な意味で)
しろも、吸いません。(健康的な意味で)
先代は吸ってたんですけど、やめました。(環境変化的な意味で)


どうでもいいですけど、
吸いません
と、
すいません!(謝罪)って、
わかりにくい気がします。(ほんとにどうでもいい)



以下タダの日記。


たまには遠くまで散歩するのもいいかもなぁ、と思って、

サンダル引っ掛けて、徒歩でうろうろしてきました。

(どうみてもただの変人です本当にry)

結果⇒靴ずれ^q^

これが、運動不足の代償か…。

お風呂でのろのろしていたら、
傷口にお湯がブシャーって入ってきて、痛かったです。



ちなみに、その時読んでいた本↓↓


死神の精度 (文春文庫)死神の精度 (文春文庫)
(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る



これは…!
個人的に、かなり好みだ(・∀・)ウホー


今更感があるうえ、まだ読み途中ですけど、

そんなことは気にしない、気にしない。

これ終わったら、次は何を読もうかなぁ。


追記からお返事です⇒misia2009さん、夢さん、智夜さん

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テーマ : イラスト
ジャンル : 趣味・実用

みらいの話

【みらいの話】

「何かお探しっすか?」

珍しい客人は、先程からうろうろと、堂内を何度も往復している。
視線はキョロキョロ。本棚の上のゆりには気づいていないようだ。

突然声をかけられた男は、はっとはちを見、口元を引き結んで堂長席へ近寄った。

「客じゃないんだ。」

はちはがっくりと、肩を落とした。

「じゃあ、なんすか?」

「新聞は、いらんかね?」

「新聞はもうとってますが。」

「そうは言わず。」

「オレ学者じゃないんで、結構です。」

「単なる新聞じゃないんだよ。」


「試しに。」

差し出されたのは、一枚のペラペラ用紙。
表には、芸能ニュース。
先月結婚したばかりの某有名人が、左手の薬指に光る指輪をきらりと輝かせ、カメラに向かって微笑んでいた。
白い歯に、白いドレス。
世俗に疎いはちでも知っている程の、所謂大物有名人のカラー写真。

その下。
デカデカと赤字で掲載された、「離婚」の文字。

「最近の若者は、こらえ性がねぇな。」

「あんたも十分若いだろう。」

大した興味も無かったはちは、その記事を机に戻す。

「ほらよく見ておくれよ。」

男の骨ばった指が指す先。
小さい文字の、年月日。

「五月の…うん?」

壁掛けのカレンダーに目をやる。やはり。

「明日の日付になってんぞ。」

「誤植じゃない。」

男は呼吸をするほどに軽く続けた。

「これは、正真正銘の、明日の記事。つまり、未来の記事ってことだ。」

「あの二人が別れる事なんて、考えられませんね。」

しろは片手にフライパンを持ち、黄色いたまごを宙へと放る。

「そうなのか?」

「えぇ、随分昔からお付き合いしていたみたいですし、
仲睦まじい様子だ、って少し前のニュースで言ってましたよ。」


「へぇ。」

個人の恋愛模様がこんな僻地の電波成年にまで届いているとは。
マスコミの力とは恐ろしい。

「それがどうしたんですか?」

「いや、なんでもねえよ。」

はちはポケットの中に入れたままの記事を、右手で触った。


次の日の朝。

「はち!朝ですよ!」

なかなかにうるさいアラーム。ぼんやりした頭で顔を洗い、着替えて一階へ降りる。
表に新聞を取りに行き、寝癖のひどい頭をかきながら朝食の前に座る。

「朝から元気なことで…え?」

眺めていた新聞記事。
否が応でも目に飛び込んできた、デカデカと自己主張する文字。

『電撃離婚!「幸せ」な二人におとずれた「辛さ」とは!?』


「旦那、ちょっとは考えてくれましたか?」

昨日と同じ時間帯。男はやってきた。

「てめぇの会社に、どっかの誰かが情報を流しただけだろう。」

「おや、まだ信じられませんか。」

大げさにおどける男。

「たりめーだ。」

眉根にしわを寄せたはち。あからさまに嫌悪感を顕にしても、効果が無いのはわかっているが。

「ならこれは、どうでしょう?」


それから、男は毎日やってきた。
そしてその度に、記事を置いて行く。

そのどれもが、日を追うごとに、的中していく。
まるで埋められた場所が分かる地雷を、あえて踏んでいくかのように。

はちは、ほとほと困っていた。
事前に知っている情報が、次の日にテレビやらラジオから流れてくる。
気味が悪くて、仕方がない。
正直、関わりたくなかった。
だが、男はいくら追い払っても懲りずにやってくる。

そんなある日のこと。
意を決して、はちは最後の手段に出た。
ここ一週間観察していたが、男が本を手に取る様子はない。
客ではないなら、強引に追い払っても構わないだろう、との思考が芽生えていた。

「せっかくの情報だが、大した役には立ってねぇよ。」

今までの記事は、国政やら芸能関係やらで、
たとえ事前に知っていたとしても、生活にはそれほどまでに影響がなかった。
というのが、はちの持論である。

これで、男も折れるだろう。

はちはそう予想していた。

だが、

「なら、これならどうでしょう。」


男は一瞬考えたふりをした後、懐から、一枚の記事を破ってよこした。

にこりとした、その笑顔の下には一体何が隠れているのだろう。


「明日の夜、二つ向こうの通りで窃盗事件が起こる。小さい事件だが、まぁ知っておいて損はない。」



男が帰った後、奥間からしろが顔をのぞかせた。

「またあのお客さんですか?」

しろは男が未来新聞なる怪しい物体をはちに渡していることに、まだ気づいていない。

むしろ、はちが意図的に隠しているのだった。
こんな話、喜々として騒ぎたてるに違いない。
調子に乗って、新聞を取ろうと言いだすかもしれない。

そんな金が、一体どこにあろうというのか。


「あぁ、まぁな。」

曖昧な返事。

「何か探しているなら、聞いてあげたらどうですか?」

しろが首をかしげる。

「暇人の戯言さ。偶然に偶然が重なってるだけだ。」




「はち、どこに行くんですか?」

夜風が強く吹いている。
上着を引っ掛け、こっそり表へ出ようとするはちに、躊躇い無くしろが声をかけた。
びくっと肩を震わせたはちは、恐る恐る後方を振り返る。

笑顔のしろ。

「あぁ、ちょっと煙草を買いにな。」

「煙草なんて吸わないじゃないですか。」

しくったと思った瞬間、しろはつかつかと踵を鳴らし、詰め寄ってきた。

「なにか探し物ですか?」

にっこりとした笑顔の下、一枚の紙を顔の高さに掲げた。
男の持ってきた、窃盗予告の記事。

「な、なんでそれを…?」

ポケットに入れたはずだ。現に今ここに…
…無い。
こいつ一体いつの間に。

「僕も行きますよ。こんな面白そうな話、一人占めなんてずるいですからね。」


何が楽しくて、寒い夜空の下、通りに座り込みをしなきゃならないんだ。
くしゃみを一つ。隣ではしろが、楽しそうにアンパンを頬張っている。

「やっぱり基本ですよね。」

「いいか、特に何も起こらなかったらオレの勝ちだ。
あの男を追い払ういい口実を捕まえるだけだ。

いいか、
何が起ころうとも、絶対に動くんじゃねぇぞ。ただ見守るだけだ。」


はちが小声でささやく。記事による事件発生時間はあと10分。
しろはもぐもぐと口を動かしながら、
敬礼のポーズを取った。
本当にわかってるのかどうか、気が気ではないが、なにせ時間がない。

突如としてわいて出た、音。
続けて飛んできた、女性の声。

「ど、泥棒!」

畳みかけてくる、地をかける足音。
確実に居る、被害者と加害者。
だが、その姿は暗くて見えない。

「くそっ、どこだ!?」

「はち、あそこです!」

しろが明かりの無い路地へ飛び込んでいく。
はちは舌打ちをし、その白い頭を追った。

走った先。
たった一つの灯。
光の下で、女性がうずくまっていた。

「大丈夫ですか!?」

しろがひざまずき、抱きかかえる。
白いシャツに、黒いジャケット。仕事帰りだったのだろう。意識はないが、呼吸はある。

だが、ひどく浅い。

すると、見る見るうちに、彼女の白いシャツが赤く染まっていった。

抱えたしろの手に付着した、べったりとした赤。

しろの顔から笑顔が消え、目を見開いた。


彼女の右腕が、鋭利な刃物で切り裂かれていた。




「待ちやがれ!」

先を走る足音が、近づいている。

暗闇の中、車も人影も無く、明かりも無い。
どのくらい走っただろうか。
ついに、その腕を掴んだ。


「捕まえた!この泥棒が。」

鼻息荒く、はちが叫ぶ。
月も出ない夜は、相手の姿をおぼろげにしかうつさない。
大した抵抗も無く、しばしの沈黙が訪れた。

そして。

腕に下がっていた女性物の鞄。恐らく、この窃盗犯が盗んだものだろう。

はちは目を疑った。

その腕が肩から外れたのだ。

いや、もげたと言った方が近いだろうか。


はちは思わず手を離しそうになったが、それより前に

窃盗犯の体は、空気に溶けるようにすぅっと消えてしまった。

スライドしてきた鞄が、自動的にはちの腕へと移動する。



余りの展開に、はちはその場にへたり込んだ。

「どうなってんだよ、おい…。」

焦点の合わない瞳でそう呟いたが、頬をばしりと叩いて正気を取り戻す。

そして立ち上がる。きっと鋭く振り返り、

駆けてきた道で、しろの元へと走った。



しろは走っていた。

手元に鞄を握ったはちに鉢合わせると、交代!と言って背負った女性を渡した。

「なんで走ってんだよ!」

「追われてるんです!」

「はぁ?誰に」

「警察ですよ!僕がこの方に近寄った時、どこからか湧いて出たんです!」

「そんな虫みたいな言い方すんな。事情を話せばいいじゃねぇか。」

「それが全然聞いてくれないんです。窃盗犯、逮捕する!の一点張りで…」



はちは舌打ちを一つかます。

話がだんだん見えてきた。


「警察がこんなに早く来るなんて…まるでここで事件が起こることを知っていたみたいじゃないですか。」

しろが後ろを振り返りながら、言った。

「みたいじゃなくて、知ってたんだよ。」

はちは背負った女性から、温かい体温を感じた。

早く手当てをしなければならない。

「どういうことですか。」

しろはまだ、気が付いていないようだ。



「グルってことだ。」



長い長い暗闇のトンネル。

何の感情もこもらない冷たい言葉が、はちの口から発せられた途端、背に負った女性がぴくりと反応した。
意識を取り戻したらしい。

けたたましいサイレンが、夜の住宅街にも拘らず、辺りへ散らばる。

向からも、警官がやってきた。追いつめられる。


「くそが!」

「はち、下がってください!」

しろはポケットから何かを取り出し、目前の警官の群れへと投げつけた。

辺りが白く、煙っていく。ひるんだ彼らを後目に、傍を駆け抜けた。


「あれは…?」

「家を出る時、ゆりちゃんからもらったんです。ピンチの時は使え、って。」


「未来を見ることはできないわ。だけど、有る程度の論理を筋道立てれば、予測しうる未来だってある。」



黒蝶堂の戸を開いた時には、息も絶え絶えになっていた。
入口に座り込み、カーテンを閉め、鍵を掛ける。


「あらあら、随分汚れて帰って来たのね。」


ゆりが本棚の上から軽やかに降りてきた。そして、女性をちらりと見やったが、
ふぅんと興味なさげに呟き、はちへと視線を移した。

「さぁ、答えは出たのかしら?」



次の日。
手当てを終え、一階に寝かせていたはずの女性の姿は消えていた。


「まったく、礼の一つもねぇとはどんな教育受けてきたんだか。」

「はち、人助けと言うのは見返りを求めてするものではないんですよ。」

「わかってるけどよ。」

聞こえてきた、とんとんとんと、聞こえてきた戸をたたく音。
時計に目をやる。

あぁ、例の男が来る時間だ。

しかし入ってきたのは、昨日の女性。


口元は笑っているが、目は笑っていない。冷たい表情。

昨日の鞄を手に、彼女は口を開いた。


「昨日はありがとうございました。」

「あぁ、別に大したことなくてよかったな。」

「お詫びと言ってはなんですが。」

彼女は鞄から、一枚の紙を差し出した。
見覚えのある、灰色の下地に黒い文字。


『未来新聞』


はちは息をのんだ。

「お詫びに未来新聞を一週間無料で配達させていただきます。その代りに、このことは他言無用。」

「いわねぇし、いらねぇよ。」

「未来がわかれば、あなた方の身の振り方も随分変わってくると思いますよ。」

「てめぇらの造った未来になんざ、興味がねぇって言ってんだよ。」



「そうですか、致し方ありませんね。」

女性は紅茶を一口。味に満足したようで、うんうんと頷いている。
そんなおしゃれな物がうちに保管されていたのか、とはちは驚く。
きっと賞味期限は…これは伝えない方が賢明だ。


「それよりも、あの男はどうした。」


「これを。」

やはり、未来新聞。

初めて見るのはそれが、今日の日付が書かれたものであるという事だ。
見覚えのある顔写真。

普段であれば、取るに足りない記事。

ある男性の失踪。


「こいつは…」


「昨日発刊されました。おととい、私が書いたものです。」

混乱する脳内を、目をつぶってゆっくり反芻する。

おとといと言えば、男が窃盗の記事を持ってきた日だ。

そして、昨日が窃盗事件もどきの日。

この女性が、男が失踪するのを予言したとでも言うのか。


いや…違う。はちはギロリと女性を睨んだ。

予言など、存在するはずがない。

未来など、見えるはずがない。


女は顔色一つ変えない。


「とんだ悪趣味だな。自分だけでは飽き足らず、同業者も犠牲にするってか。」

「情報を買う人間がいるなら、造る人間がいたっておかしくはありません。」

「正論だ。だが、オレには薄っぺらの、腐った未来なんざ必要ない。」

はちの眉根を寄せた顔に、

女性はそうですか、と感情のこもらない声で返すと、

懐から取り出した手帳の一ページをびりりと破った。

そしてボールペンを滑らせた用紙を、はちの前に差し出した。


あさっての日付。

「明日発刊の分に、載せようと思います。」

『黒蝶堂に待望の客到来。なんとその数1800人!』

「余計な御世話だ。」

「そうですね。できないことには、手を出しません。」

彼女はそういうと無表情に、紙をびりびりと破り、辺りへ散らした。

はちはその紙きれを恨めしそうにちらりと見やり、黒蝶堂を後にする彼女の後ろ姿を見送った。


「あんた、腕の調子はどうなんだ。」

はちの声に彼女は振り返ると、少し驚いた表情で目を見張った。

そして、手を控えめに上げ合図を送り、踵を返して、黒蝶堂の戸を閉めた。



【終】



テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

たいくつな話

【たいくつな話】

ツバメが空より降下し、新幹線も震撼するほどの速度で、堂前を横断していく。

黒蝶堂の昼下がり。

客足は相変わらず遠く、外は小雨が降っている。
南方面はすでに梅雨入りをしたといい、梅雨前線は確実に北上の一途をたどっている。

堂長席であくびをしたはち。

彼を突然、ツバメも泡を吹くほどの速度で、何かが襲った。

「っつぇ…!」

ぐぅの音も出ないまま机に肘をつき、負傷部位である頭を抱えるはち。
本棚の上から、冷たい視線が注がれている。
発射箇所は、冷たい視線の張本人、本を持つ少女の手元である。
これは間違いない事実のようだ。

机を転がり、床と衝突した何か。
落下音の正体は、ペン先鋭い古めかしき万年筆。
それは床を転がり、はちの足元で止まった。

俯き、痛みに堪えていたはちであったが、
ぼたぼたと音を立て、こぼれ落ちる赤が、机上をまばらに彩っていくのを見、思わず右手の甲で額を拭った。

どろりとした感触。
べっとりと付着した鮮血。

「冗談…だろ?」

途端に霞みゆく視界。
遠くなる意識。
止まらない、赤の世界。

思えば、ろくなことのない人生だった。


「はち!」

奥間からのしろによる呼びかけが、脳みその端にかかる。

「後は、任せたぞ…」


はちはそう弱弱しく呟くと、意識を失った。


「しっかりしてください!ゆりちゃん!」

力任せにはちの肩を揺するしろが、ゆりへと助けを求める。

「よく、見なさい。」

本棚の上から、落ち着いた声音が降ってきた。

しろは言われるがままに、目前の惨状を見渡す。


違和感に気付いた彼は、赤みに指をつけ、ぺろりと舐めた。


「これは…。」

「万年筆に細工を加えたの。」


辺りに飛び散り、気を失ったはちの頬を伝う赤。

その正体は血液ではなく、真っ赤なインクであった。


はちも誤解するほどの、やけにリアルなその体裁は、おそらく彼女が用意周到に、血糊でも混ぜたのであろう。


「退屈と退屈が掛け合わさって退屈になるような退屈。
必要ないって言うのも、退屈な話だわ。」


ゆりはやれやれと首を左右に振り、少しだけ口角を釣り上げた。


【了】

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

おひがんの話後日談

【おひがんの話後日談】

「働き者だな!」

黒蝶堂の中庭、初夏の燦々と降り注ぐ日にあてられじっとりと汗を描いた背中を、ツインテールの少女が卒塔婆でバシバシ叩く。
極めて楽しそうな表情。

「っせぇよ!誰のせいだ、誰の!」

叩かれている張本人、手に軍手をはめ、麦藁帽をかぶったはちは、青筋が浮かび、泥の付着した額を少女に向けた。
足下には、山盛りに山積みされた大量の緑。



「庭の雑草でも抜いてきなさい」

朝方、青天の霹靂に発せられた指令。


「なんでだよ。」

「来るわ。」

「なにが…違った。誰が。」

「深見の墓守。」

ゆりの即答にはちは、戸棚を整理していた手を止め、

「またやっかいな…。」

ふぅっと溜息をつき、手元の本を棚へ戻すと、庭に面する小さな縁側へと向かったのであった。

だが、ろくに手入れもしていなかった庭は、ほうぼうに草が、奔放に伸びていた。
始めたはいいが案の定、なかなか作業は終わらず。

結局、終わらぬまま冒頭に戻る。

「牡丹ちゃん!お茶でもいかがですか?」

「いただくんだぞ!」

縁側に駆けて行く後ろ姿。
はちは、スリッパを引っ掛け近寄ってきたしろから麦茶を受け取った。
冷茶を一息で飲み干し、湯呑を盆に置く。

「お前も手伝え!」

するとしろは、近くの樹に不安定な足取りで近づき、その根元にしゃがみこんだ。
自然と影を作っているそこは、陽のあたる他の箇所よりは随分涼しい。

「おい、どうした?」
怪訝そうな顔で、はちが問う。

「ちょっと酔ったみたいです。車酔いみたいな…」
青い顔で、しろが返す。

「酒でも飲んだのか?」
首を横に振るしろ。

暫くの間ののち、息切れ気味に、口を開いた。

「地球って、なんで回ってるんですか…?」

「それは地球が誕生した時に…って規模がでけぇ!」




「元気だな!」

「元気だけが取り柄よ。」


庭でぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を見ながら、縁側に座って茶を飲むゆりと牡丹。

「足の具合はどうなの?」

「もう大丈夫なんだぞ!」

足を庭方面に放り、ばたつかせる牡丹は、しろが用意した茶菓子の饅頭を頬張った。

「そう。」

ただ聞いてみたと言わんばかりのゆりは、茶を一口啜る。

「ゆりも風邪、ひかなかったか?」

牡丹は悪意なく問うた。
が。
ぎろっとしたゆりの睨みに、思わず目をそらした。
彼女にとって思い出したくない出来事だったようだ。

訪れた、軽い沈黙。
ブーツの空を切る音が、リズムを刻む。

「いきなり呼び出すなんて珍しい。ゆり、一体何の用なんだ?」

牡丹が先手を切った。

「あなた、はちのこと墓荒らして言って襲ったらしいわね。」

抑揚のないゆりの声。

「最初会った時は、まさか伊織堂長の孫とは思わなかったからな。」

対照的に明るい、牡丹の声が肯定する。



「なぜ嘘をつくの?」



牡丹が、足の動きを止めた。
手に持った四つ目の饅頭を、膝の上に置く。

ゆりは続ける。

「あなたは尋ねる前から、あいつがはちだと、気づいていた。いいえ、気づかないはずがない。
だけど、わからないふりをして仕事を手伝わせた。」


「どうしてそんなマドロッコシイ事をしなきゃいけないんだ?」
首をかしげる牡丹。

「簡単な事よ。」
ゆりは言葉を切り、芯のある声で淀みなく発した。



「あなたは、はちを殺そうとしていた。」



牡丹は盛大に吹き出した。

「ゆり、推理小説の読み過ぎだぞ。」

冗談交じりに、おちゃらける。

だがゆりは、極めて冷静に続ける。

「はちたちが三年間、深見に顔を見せていない事実。あなたが誰よりも理解していたはずよ。」

「確かに、不孝者だとは思っていたぞ。」

「あなたは待っていたはずよ。先代堂長のために、そして、自分のために。
日が経つにつれて徐々に思うようになった。
『姿を見せた暁には、その不孝を一身に受けさせるべきなんだぞ!』ってね。」


真似た口調で発したゆりを、じっと見つめる牡丹。

「見た瞬間に、伊織さんの孫だとわかった。危害を加えるための、隙を作る口実として、雑務を手伝わせた。」


「もし殺すなら、最初に出会った時が最大の機会だったぞ。」
真剣な声音で、牡丹が口をはさむ。
ゆりは首を左右に振った。

「最初捕まえた時、あなたがとどめを刺さなかったのは、
あなたがはちの口からの、わびの言葉を期待していたから。」


「聞いてないぞ。ならなんで、あいつらは生きているんだ?」

「それは機会を逸したからに他ならない。現に怪我までするほどに、あなたは慌てていた。」

そこでゆりの推理は、一段落した。

一通りゆりの主張を聞いた牡丹は、けらけらと笑った。

「なにがおかしいの?」

眉根を寄せたゆり。

「そういう推論もできるのか。確かにあたしは、亡き者を想わない人間は大嫌いだ。だけど、想うってのはどこだってできる。だから参らない奴を恨んだり、妬んだりはしない。あたしは、ゆりが考えてるほど、あたしは感情的な思考じゃないんだぞ。」

長々したセリフを、牡丹は巻き気味に、一息で言い切った。

「本当にそうかしら?」

疑いの視線を向け、続けるゆり。

「そうだぞ。なら聞くが、あいつらに深見へ行く許可を出したのは誰だ?」

「私よ。」

ゆりはよどみなく答えた。
牡丹は目を細めた。

「本当にあたしが堂長を殺そうって企んでいるってゆりが思うなら、許可を出さないだろ?」

「自分の身は自分で守るべきでしょう?」

「仮にあたしが本当にはちを葬っていたら、あたしの命が危うくなるはずだぞ。」

加害者本人候補であるゆりは腕を組み、

「それは、そうかもね。」

赤い瞳で、牡丹をじっと見つめた。

牡丹は一瞬息を詰め、

「閻魔大王よりも恐ろしいな。」

そう呟いた。

そして、

「そんな危険な橋を渡るくらいなら、橋をたたき割って、三途の川を全力で泳ぐ方を選ぶんだぞ。」

へたくそなウインクをかました。

「賢明な判断ね。」
微かに笑ったゆりに、牡丹ははにかんだ。

「あんなに似ているのに、気付かないはずがないんだぞ。」


牡丹はさらりと嘘を白状し、ぺろりと舌をだした。


「中身も、ちょっとだけ素質があるみたいだから、あたしは応援してるんだぞ。」
 
「それは、感謝に値するわ。」

ゆりは再び、お茶をすすった。

【終】


テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

今日は何の日でしょうか!?

今日は何の日でしょうか?

本日は五月の八日、そう、8⇒はち、はちの日です!

ご存じない方もいらっしゃると思うので説明しますと、
当サイトでは毎月八日を「はちの日」と設定しておりまして、

その日は何があっても、当サイトの主人公、黒川はちに関するイラストをあげてやろう。
っていう企画をしているのです。

↓↓ちなみに、過去分はこちら↓↓

☆2月分
★3月分
☆4月分

まだまだ歴史は浅いです。

五月のテーマ!

質問「眼鏡キャラは大抵眼鏡をはずすと、目が3になってますが、はちもそうなのですか?」



答え「とってみました。」


↓↓答えは、れっつすくろーる↓↓






目は③?



答え「3ではなく、8のようです。」

*このあと眼鏡は、スタッフが美味しく頂きました*

3+3って、重ね合わせると8になるんだよ!←
私の個人的な、ちょっとした、発見でした。

それでは来月も、きちんと更新する事を目標に…!
月を重ねる事に適当になっているのは、気のせいだと思いたい。

お付き合いありがとうございました!


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たけのこの話

【たけのこの話】

「どんどんおかわりしてくださいね!」

「またこれか…。」

目前のテーブルに並ぶは、本日の夕飯。
どこを見ても、竹の子、タケノコ、筍。
刺身に煮付け、みそ汁に炊き込み飯。
いくら季節だからといっても、やりすぎではないだろうか。

「向かいのお弁当屋さんに頂いたんですよ。」

嬉々として話すしろは、ここ一週間、食卓に並ぶ献立がまったく同じと言う事実に、気付いているのだろうか。
そして、先のやり取りを朝昼晩、毎度毎度繰り返していると言う事実に、気付いているのだろうか。

「確信犯か…?いや、こいつに限ってそれはないな。」

「何か言いました?文句があるなら、食べなくて結構ですよ。」

笑みを浮かべ、箸をとるしろ。

「文句なんて言ってねぇだろ。ただちょっと飽きたっつーか。」

はちはため息をついた。
嫌いではないが、さすがに続くとつらいものがある。
そろそろ前頭葉辺りから芽が出てきてもおかしくねぇ…ってバカか。

内心自らの妄想にツッコミを入れたはちは、しぶしぶみそ汁に手をつけた。

「あぁ…はちは笹派でしたね。すいません準備できなくて。」

「そんな派閥には属してねぇよ!中国の奥地に仲間が居るってか!上野動物園に帰れってか!?」

はちは思わず箸を机に叩きつけた。

「なら今度、笹取りに山へ登りましょう!」

しろは人差し指を立て、ひらめきのポーズをとった。

「話を聞けぇ!」

中腰になったはちは、食ってかかるように怒鳴りつける。
いつものように、効果は、ない。

「『竹の子族』って流行ったわよね。」

突然会話に加わってきた、向かいに座るゆりの言葉に、しろは頷く。

「まさに今、タケノコを食している、僕たちの事です!」

「定義が違う!脱退申請書を所望する!」

「田家之粉族はそんな紙切れで縁が切れるような、安っぽいもんじゃないんですよ!」

「『田家之粉』ってなんだ?!せめて、『多華埜孤』とかにしてくれ!」

文字が見える目を持つはちは、ツッコミをかます。
どんな仮説でも、つっこまなければ、気が済まない。
性分とは、悲しいものだ。

「画数が多ければ格好が付くってもんじゃないわよ。」

どうやら、ゆりも飛び交う文字が見えたようだ。
正座をし、煮つけに手を伸ばす。
冷静な指摘に、はちはぐぅっとうなる。

「ですよね、姉さん!」

同意を得たしろは、ガッツポーズを決め、勝ち誇ったようにはちを見た。

「もう勝手にしてくれ…。」

どうして飯を食うだけで、こんなにも疲れなければならないのか。
族の中では(も)底辺のポジションに位置づけられるであろうはちは、げんなりした気分で、再び箸をとった。

箸は叩きつけた時のあまりの衝撃に、二つに折れてしまっていた。

【了】

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おひがんの話 まとめver.

おひがんの話 まとめver.

今更、ブログのジャンルとテーマを選択できることを知った。

長いので追記からです。

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おひがんの話 10


光は燃え、熱気が汗となり肌を伝う。
戦地は小さな広場に移っていた。

「行ったか。」

はちとしろの駆けていく後ろ姿が、闇に紛れていく。
振り返りそうになるしろを、はちが遮り、足をもつれさせるが如く墓地の外へ走っていく。

恐怖に怯えた彼らを、これ以上近づけてはならない。
その様子を見、汗を浮かべ、牡丹は微かに笑った。

それでいい。それがいい。

確認した牡丹は、光に焦点を合わせた。
軽やかな身のこなしで、飛び込んでくる光を次々に撃墜する。

背を樹木に付け、地に落ちたそれに足元の土を覆い被せる。
これで熱はいくらかとれるはずだ。

この子達は、ただ熱くなりすぎているだけだ。
深見ヶ原墓地憑者の牡丹ができることは、その熱を拭い去ってやること、ただそれだけだ。

が、再度再々度、それらは復活してくる。
その上、
復活するたびに光は分裂し、まったくもってキリが無い。

「予想通り、だ。ダメみたいなんだぞ…。」

いつの間にか光は増え、八つになり、文字通り四方八方を包囲される。
それでも叩き落としていくが、さすがに疲れが蓄積されていくのを感じざるを得ない。
息が上がる。
視界がぐらりと歪む。

左右すれすれを掠っていく、交差弾。
それをかわすため、

牡丹がブーツで地を蹴った時だった。


一瞬の、迷いがあった。
砂利に足を取られた。

一斉に飛びかかってくる、光の束と熱量。

重力をまともに受け、地へと吸い込まれる、浮遊感。



「簡単には変われないんだぞ。堂長…」




牡丹はその中で、目を閉じた。



体が、ふっと包みこまれたのを感じたのは夢か現か。



「大丈夫ですか!?」



見上げれば、しろの顔がそこにあった。

「なん、なんだ…?」

抱きかかえられた牡丹の、キョトンとした顔。
それはほんの一瞬で、慌てて光へ向かい直ろうとする。
くじいた足に、ずきりと痛みが走る。

が、それ以上の衝撃が、牡丹を迎えた。

「足、挫いてんだろうが。高ぇヒール履いてるからだ。」
広場の中央。樹の正面。

そこには柄杓片手に全てを引きつける、はちの姿があった。




「愚か者!人間には無理だ。さっさと逃げるんだぞ!」

「はいそうですか、って下がれるわけねぇだろ!」

語気は荒いが、微かに震える声で、はちは答えた。


左手のバケツを、草むらに置く。

半端な長さの柄杓を、両手でしっかりとにぎりしめる様は、

「だせぇ。」

「ださいですね。」

「るせぇよ!」

お世辞にも、格好がつくとは言えない体勢である。

空のバケツ片方を盾にして、対峙するはちは、あさっての方向に咆哮する結果に終わった。


闇夜に浮かぶ、八つの光の不気味な異形。

極度の緊迫感の中、はちは口を開いた。

「てめぇらはただの、でけぇ蛍だ。」

「せんせー、蛍にはまだ季節が早いと思いま―す。」

「『ひとだま』だと、言ってるだろうが!」

「あーあー、聞こえねぇ。聞こえねぇ!」

不躾にも耳に突き刺さってくる声を、自らの声で弾く。

途端、光の一つがはちへと飛んだ
牡丹が飛び出そうとするのを、しろが懸命に抑える。

「無理だ!堂長!」

声が届くかどうかの瀬戸際。

はちは素早く、振り向きざまに柄杓を持った手首を返した。

飛び散り、分裂する光の欠片が宙を舞い、はらはらと細く、見えなくなっていく。

しろに抱えられた姿勢の牡丹が、その手際のよい鮮やかな動作に、はっと、息をのんだ。

キラキラ輝くに、目を奪われたまま、逸らせずにいた。

「目には目を、歯には歯を。火には…さぁなんだ?」

ずれた眼鏡をかけ直したはちは、火の中央で誰とはなく問う。

明かりを失い、地へ失墜した『ひとだま』の、表面を滴り落ちる水滴。

光だったその物体らは、音も無く闇に溶けていく。

「本物の墓荒らし、火事場泥棒が現れる前に、片をつけようぜ?」

残りの七つに向き直り、眉根を寄せた真剣な顔つきで、熱を発する眩しい光をぎりっと睨んだ。




「痛いんだぞ!」

「我慢してくださいね~。」

どこから取り出したのか。しろの手元の、木製の救急箱。
慣れた手つきで牡丹の右足に白い包帯を巻いていく。
広場の脇の、アスファルトでできた腰かけ。牡丹の隣に座るはちが

「ドジなんだな。」

シテヤッタリ顔と共に、鼻で笑った。

「戯けたことを言うななんだぞ!って痛っ!」

「じっとしてください!」

笑顔で押しつけるしろを、涙目で睨んだ牡丹は、袖でゴシゴシと目を拭う。

月夜は、明るい。

「この辱め、きっと覚えてるんだぞ!」

「良いのか、んなこと言って。」

はちは意地の悪い表情で、柄杓に水を掬い、牡丹の前にちらつかせた。
身をよじらせ、ピャッとしろの後ろに隠れる牡丹。

「はち!」

諌めるその言葉より早く、その鉄拳が額にヒット。

怯えた表情で、牡丹がそろりと顔をのぞかせた。

「女の子をいじめるなんて、最低の最低です!」

怒りを露わにするしろと、隣の伸びたはちを見た牡丹は、声をあげて笑った。



しそびれた彼岸の参りは、仕切り直す事になった。
黒川家の墓前に戻り、祈りを捧げ、顔をあげる。

「仮堂長に、仮副長。」

「だから、本物だって。」

「今日は助かった。礼を言うんだぞ。仕方ないから、仮を取ってやる。」

すがすがしい顔で、牡丹は胸を張った。

「それはどうも。」

はちは牡丹から顔をそむけ、苦虫をかみつぶしたような顔で溜息をついた。


「素直じゃねぇってのは、こういうヤツを言うのかね。」


突如の物音。
と同時に、墓の脇に現れた人影。
はち、しろ、牡丹の三者はさっと身構える。
穏やかな空気が一瞬にして、張りつめた。

「墓荒らしか…!?」
「も、もう怖くねぇぞ!」

はちはバケツ内の柄杓を手に取った。
そして、その影を狙い澄まし、若干腰が引き気味ではあったが、うまいこと水をぶちまけた。

「やったぞ!…げぇっ?!」

「良い挨拶ね、はち?」

もっとも怒らせてはならない、頭に大きな赤いリボンをつけた少女が、切り揃えられた前髪から水滴を滴らせ、にこにこと笑っていた。
ただし、目は微動だにせず、口元だけが不自然につり上がっている。
あまりに、あまり。極めて、極めて、見慣れない表情。

張りつめた空気は、絶対零度に凍りついた。

「帰りが遅いから心配してきてみたら…」

「ち、違うんだ。これは…!」

柄杓を取り落とし、冷や汗に顔面を支配されたはちは、しどろもどろになりながらも言葉を探す。

が。

「問答無用!」

いつの間にかバケツを抱えたゆりは、大量の流水をはちの顔面へ。

「頭を冷やして、出直しなさい!」

牡丹としろは、顔を見合わせて笑った。
夜風に吹かれながら、黒蝶堂に戻った後、くしゃみが止まらなくなったはちが風邪をひくのは、また別の話。



【おわり】


追記よりとるにたりないアトガキ


こそーり後日談

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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