地震

現在東北より関東にかけて、地震被害が拡大しているようです。

被災された方、余震も引き続くと予想されますので、身の回りには十二分にご注意下さい。

私は元気です。
最小限の被害で済みますよう、遠方から祈っております。

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【黒蝶堂のバレンタイン】

【黒蝶堂のバレンタイン】

「街中から、ちょこの匂いがするわ。」

本日2月14日。遥光の街は2月に入った時より、お祭り騒ぎの体を形成し始めていた。
堂長席の前に舞いおりてきた少女に、あぁそう言えば今日だったか、と自身にあまり関係の無い行事を事務的に伝えた。

「バレ…?」

ゆりは首を傾げる。彼女がカタカナに弱い事を失念していたはちは、自身の右耳を触りながら答えを探す。

「…簡単に言えば、女性が男にチョコを送って、思いを伝えるっていう商売繁盛の日だ。」

「夢も希望もない言い方ですね。」

説明した途端、奥間から洗濯かごを持ったしろが顔をのぞかせた。
本日は快晴。絶好の洗濯日和です!と朝から騒いでいた。

そんな彼が、助言を加える。

「最近は男女関係なく、お友達と交換したり、お世話になった方へ贈ったり、自分にご褒美として買ったりするそうですよ。」

余計なことを…と思うが後の祭り。
第一、街は現在進行形で祭りの開催期間中であるのだが。

――うちには関係の薄い行事だから何事も無く通り過ぎるはずだ。

チョコレートのように甘い考えを抱いていたはちであったが、しろの話を受けたゆりは案の定、

「頂戴。」

手を前方に、真顔で口を開いた。

「…あのな、請求日じゃねぇんだよ。」

チョコレートを何よりも愛する彼女が、こんな上手い話を利用しないはずも無かった。



「もしかして、一つも貰ってないのかしら…?」

「わ、悪いかよ。しろだって貰ってねぇだろ。」

な、と同意を得るかの如く奥間を見やるはち。
しかし、白い彼は首を横に振った。

「今朝、外回りを掃除してたら、お弁当屋の店主さんに貰っちゃいました。まさかはち、一つも貰ってないのですか…?」

「べ、別に死ぬわけじゃねぇしよ…」

冷汗を垂らしながら、はちはかぶりを振る。
少女は腕を組み、彼の瞳をじっと見つめた。

「なんだよ…」

はちは逸らしたくなるが逸らせない目に根気負けした。

「はち、貴方は毎日、人と関わって生きてるわ。」

「そりゃそうだ。」

はちは堂長席に肘をつく。顎を左手の掌に乗せ、少女の御高説に耳を傾ける。

「堂長たるもの、客人との信頼関係を尊重すべきなの。」

「まぁ、そうかもな。」

「ならばなぜ、貴方を慕う人が居ないの?」

「そんな大げさな…思いが菓子の一つや二つで計れるかってんだ。」

溜息一つが、苦笑に便乗する。
しかし、ゆりは明日隕石が地球に衝突しますと予言するNHKのキャスターのように、表情一つ変えず淡々と事実を述べる。

「ちょこなんて、単なる契機にすぎないの。感謝の意を示す絶好の機会である今日、貴方には一つたりとて与えられてない…これは、忌々しき事態よ。」

「まさか…」

はちは否定しながらも、頬を伝う冷や汗の量が増えてきた事を自覚していた。
まさか、いや、そんなはずはない。
しかし、彼女の三段論法にはどうも頭が上がらない。
単にチョコレートを貰えない事実が、大変なことのように思われてきたのだ。

――100%の自信が、99%になった。

「…なら、オレはどうしたらいいんだ?」

声音は変えず、淡々と教えを請うはち。

「堂長として、男として、己の沽券を掛けて戦いなさい。」

彼女の目がきらりと輝く。はちは、「戦う?」突く手を右手に替えた。

「刻限は午後6時。証拠として100個ばかり献上して頂戴。」

「100個って…まさかてめぇ、自分がチョコ食いてぇだけじゃ…!」

はちは叫ぶ。
だが、その声は彼女の不敵な笑みの前に崩れ去る事となる。

「いってらっしゃい。」

不敵に笑む少女が、ゆっくりと遠ざかっていく。
併せて、周囲に佇む本棚も、後ろへ流れていく。
――否、違う。
足元を見れば、自分の座っていた椅子が乗る床板。
店内出入り口までの一直線上、その箇所だけが、前方へとタイルを押し出しているではないか。
どうやら自分が動いているようだ。直線状にあった机は用意周到にも、脇に避けられている。

前には表通りに面したガラス戸が立ち塞がっているのだが。

――スピードは徐々に、しかし確実に速まっている。

「ちょちょ、止まれぇぇぇぇ!」

椅子に乗った体勢のまま、はちは目をぎゅっと瞑った。
そして、ガラス戸に衝突する一歩前。
自動ドアでは無いガラス戸が、ぎいと音を立てながら横へとスライドした。
黒川はちの体は椅子より投げ出され、無機質なコンクリートが彼の視界を覆った。



「戦えと言ってもな…」

はちは激突した肩をさすりながら、アーケードを北上し始める。
まったくのあてもないとは、まさにこの事だろう。
今日は、幸か不幸か平日。
真っ昼間からアーケードを歩いたところでチョコが舞い降りてくるはずもない。

街ゆく女性に、「チョコレートを頂けませんかね?」と問うたところで、返ってくるのは訝しげな視線か、はたまた冷たい平手打ちか。

「はちがあと10歳若かったら、遠慮なくできたかもしれませんね。」

「人の心を読むんじゃねぇよ。」

横に並んで歩くは、氷山しろ。本日、はちを裏切って自分だけ得物をゲットした男だ。
心当たりが何カ所かあるんで、よかったら案内しましょうか?と言われ、しぶしぶしろの御供をしているという具合だ。
歩き始めてそろそろ15分。
おい、一体どこに行くんだと、しろに文句をつけるため、はちが眼鏡を掛け直した瞬間。

「あんたたち!今日も暇そうだね。」

左斜め前方から、明快な声が飛んできた。



屋外のテント下。エプロンに身を包んだ小柄なシルエット。
はちは目を凝らし、逆光を背に受けた彼女を見つめる。

「今年も卒業式には協力してね。」

「あ、あの時の。」

遥光の町内会。以前出会った時、そこのメンバーと名乗った彼女が立っていた。
彼女ははちの祖父・伊織とも顔見知りだったようで、広報誌に掲載する写真の撮影に駆り出された事があった。

話によると、町内会の企画として、チョコレートを格安で販売しているそうだ。

「ほら、一個ずつやるよ。」

彼女の手から、茶色に赤いリボンが施されたシンプルな箱が放られた。
はちはお手玉をしながらも、なんとかそれをキャッチする。
一方、しろの手元には、吸い込まれるように位置取りをした。

「うちの婦人会で作ったから。他の皆には秘密よ。その代わり、今年もお仕事宜しくね。」

「ど、どうも。」

「ありがとうございます!」

「あとこれは伊織に。」

もう一つが、宙を舞い、はちの手に収まった。

「私があと50年若ければ、本気のチョコだったよ。」

婦人は少女のように、はにかんでみせた。



「…あっさり手に入ったな。」

「幸先いいですね!」

「こんなに早く得られるとはな…イヤな予感がするぜ。」

「考え過ぎですよ。好意は素直に受け入れるが吉です!」

「そいつが、純粋な『好意』ならな。」

デパート7F、喫茶店の昼下がり。

「懐かしい場所ですね。」

「なぜオレがお前のお代を負担せにゃならんのだ。」

「いいじゃないでいですか。はちの『好意』って事で。」

前払いのシステムである当店。はちが自分の飲み物を選択する時、脇からしろが手を伸ばし、メニューのスイッチを押したのだ。
白い彼の前には、緑色が弾けるクリームソーダが鎮座しており、はちの向かいにはサービス品である冷水が、ぞんざいに置かれている。
炭酸の海に浮かぶアイスを、先別れした銀色のスプーンでつつくしろ。

「その論理だと『略奪は慈善活動です!』と言ってるようなもんだぞ。」

「泥棒さんがボランティア活動に専念すれば、世界が平和になりますね。」

「おかげさまで仕事が無くなった警官が、犯罪を犯すだけだ。第一こんな金のかかる所に来る理由が…」

「お客様、お話中に失礼します。」

女性の声が、はちの話を遮った。
怪訝そうに顔を向けるはちの目に、紺色の制服に、フリルが添えられた白いエプロンが映った。
昔ながらの型を維持し続けるこの喫茶店の店員が、二人の横に小箱を持って立っていた。

「ただいま当店ではバレンタイン特別企画をしてまして、クリームソーダをご注文いただいたお客様にチョコレートのサービスを…」

「ありがとうございます!」

立ち上がり、彼女の手を握りながら小箱を受け取るしろ。
はちは話の展開についていけず、ただただ、目の前の出来事を網膜に写し続ける。

「さて、次はどこに行きましょう?」

しろは無邪気に笑った。



「本当にあの人恰好よかったよね。」

ほう…と好調した頬に手を添え、深い深い息を吐く女子高校生が向こう側からやってくる。

「あの人が美味しいって言うのだから、間違いないはずよ!」

「そうよね!私、がんばるわ!」

鋭い光源をともした瞳。色味の強い目に幾度も痛い目にあわされているはちは、思わずたじろぐ。
そんな彼の所作を見た彼女らは、明朗な表情を一瞬にして影に落とし、必要以上にはちとの距離を取りながらすれ違う。

「知り合い?」

「知らない。怖くない?」

「こんなとこに男一人で来るとか?」

「誰にあげるんだろ?」

「そりゃもちろん…」

くすくすと笑いを洩らす彼女達。言葉尻に元の明るさを取り戻した彼女らのざわめきを後方に聞きながら、
はちは頭上の看板を見、やっと自分がどこにいるのかを知った。

「~バレンタインフェア~…ね。」



数時間前、デパートで喫茶店を出た二人は、別行動をとることになった。
理由は簡単。しろがはちを怒らせたのだ。
しかし、はちはその原因を忘れてしまっていた。喧嘩とは、総じてそういうものである。
覚えているのは自分が怒りを爆発させた途端、しろが消えた事。

「下へ参ります。」

発音が良すぎる女性の声が、エレベーターの奥に吸い込まれた。



はちはしろを探して、歩を進めていただけであった。
だれにあげるとか、冷やかすとか、そのような目的は一切無かった。
その結果が、ここに導いたのか。

目に優しい配色を反転させ、その色に砂糖と片栗粉を混ぜミキサーにかけ、完成した液体をぶちまけたかのようなフロア。
地下一階の若者向けの雑貨屋は、目を覆いたくなるほど、多くの人間でごった返していた。

辺りに漂うは、あまりにも好い香り。
石鹸にバラにチョコに化粧品に柑橘系。
空間全土が甘ったるく、はちは鼻をつまみたくなる。

「…平日の昼間っつーのに、お盛んな事で。」

悪態の一つでもついていないとやっていけない。
そう呟いた時、女性が脇を通り抜けた。派手な、それでいて肌色の部位を多く露出させたパンダの様な目を持つ風貌。
腕には茶色の紙袋を大切に抱えており、中には綺麗にラッピングされた箱が積まれている。

「そこのモテなさそうな、陰気なお兄さんもお一つどうぞ。」

「あ、どうもすんません…って、うるせぇよ!…って、な、なんでお前が…!?」
息切れしながらも、ツッコミをなんとか追いつかせたはち。

そこには桃色のエプロンに身を包んだ白い青年の姿。
甘い菓子の並ぶ皿を片手にし、驚きの表情を浮かべながら目の前に立っていた。



「たくさんもらっちゃいましたね!」

しろが両手に下げる白い紙袋。その中で、大小さまざまなサイズの箱がひしめいている。

「…なんでオレまで、仕事に駆り出されんとならんのだ。」

「いいじゃないですか!あんなに多くの女性にチョコレートを渡す機会なんて、もう二度とないかもしれないですよ。」

しろの話を要約するとこうだ。
接客を担当していた女性がしろにョコの説明をしたという。
試食をし、彼がおいしいと伝えた。
その瞬間。
女性が降って湧いたかの如く、四方八方より集結した。

「多忙極まり、てんてこ舞い舞い巻き込まれですよ!」

そして、試食サービスの女性はいくばくもする間もなく、客人の波に押し流されていき、
第一波の後、残ったのは彼女の仕事着であったエプロンと、ぐったりとした彼女の姿。

「で、代わりにお前が接客を引き継いだ、と。」

「休憩室に運ばれて行きまして。しかしお客さんも多くて。」

「…騒動の原因は、ほぼお前にあるだろうな。」

目をぱちくりと見開くしろ。
これだから、自覚がない事実ほど恐ろしい物は無いのだ。

――お前が良いと言ったから、客が群がったのさ。

とは言わず、はちは嘆息を一つ。

「そのお礼に貰った…っつっても、尋常な量じゃねぇぞ。」

しろが抱える両手の袋に目をやり、話のやり場を逸らした。

「あのお店でアルバイトしてる方が、お仕事を始める時にたくさん買ったそうであまってるらしく。よければどうぞ、と言われたんですよ。」

「この量から察するに、1人や2人じゃねぇだろ。」

「えぇ、全員で12人いらっしゃいましたからね。全部で70個くらいあるでしょう。」

「70…!?…一体だれが食うんだよ。」

「中身を開ければ100個は優に超えますよ。目標達成です!」

はちの気持ちはつゆ知らず、しろは満面の笑みを浮かべるのであった。
そして紙袋をはちに押しつける。

交代です!と有無を言わさず引き継がせた。



時刻はそろそろ夕方5時。
街には学生が増え、夕飯の買物客であろうか、主婦らしき女性の姿も多く見られるようになった。

「あの、黒蝶堂の方ですか?」

「そうすけど?」

家路を辿るはちとしろ。
彼らが黒蝶堂の目前まで辿りついた時、道路の脇に座る女性が立ち上がり、2人の前に立ちふさがった。

「以前店の前を通った時、とても親切にしていただいて。…覚えていないかもしれないですけど。これ、お口に合うかどうか…」

ウェーブががった茶髪が垂れる黒いコートを羽織り、短いスカートから伸びるすらりと長い脚を黒いタイツで覆っている。
編み込みが施されたこげ茶色のブーツが、コツコツと地面を叩く。
洗練された服装に、端正な顔立ちは、雑誌の中から飛び出て来たモデルを彷彿とさせる

――かもしれない。

流行に疎いはちは、それらしい事を推測するにとどまる。

「…なんかの罰ゲームっすか?」

「いえ、本気です。」

夕陽に当たってキラキラと輝く目元には、何かが塗られているのだろう。
その目が冗談を言ってる風ではなく、至極真面目な雰囲気であるのではちは一瞬たじろぎ、ふいと横を向いた。

「で、でもオレはあなたの事なんて何も知らねぇですし。」

「問題ないです。」

「…」

「ならこれを…。」

と言うと、彼女はチョコレートらしき包紙の入った袋を差し出した。

――はちの隣、鳥を目で追いかけている白い青年に。

しろが笑顔で受け取ると、彼女は顔を真っ赤に染め上げ、脱兎のごとく駆けだした。
そして、ものの数秒もせず、彼女の姿は黄昏に消えた。

両者の間に訪れた沈黙と、一つのチョコレート。
はちの握る、大量のチョコレートが詰まった紙袋。
その手に、力が入った。

「この白髪が!お前なんか嫌いだ!」

「なんでですか!」

はちは静寂を破ると、黒蝶堂へ走って行った。
――大量のチョコレートを、その両手に提げて。

黒蝶堂の扉を乱雑に開けると、手元の紙袋を投げる様に置いた。
すると、本棚の上に鎮座する小さな少女の姿が、大きな書物を投げつけてきた。

「八当たりは見苦しいわよ。」

「…うるせぇよ!」

痛みをものともせず叫び返してくる彼に、ゆりは僅かに柳眉を顰めた。
そして、店を出る前と同じように地上へ舞いおりると、「もうすぐあなたにお客様が来るわよ」と、一言。

怪訝そうな表情の彼を見て、少女は小さく笑った。

その表情がほどかれる前、黒蝶堂のガラス戸が叩かれた。



「はちさん、これどうぞ。」

「え?」

開かれた扉の近くには、お世話になっているとの言葉では形容しきれない程、世話を焼いてくれている女性がいた。
黒蝶堂向かいの弁当屋。こちらとは対照的に、毎日大繁盛している店。彼女はそこの店長であり、一児の母でもあるという。

彼女が差しだす桃色の袋。これは…。

「直接渡したかったので。娘と一緒に作りましたから、 大した物じゃないですけど。」

「あの、オレに、えと、オレに!?ですか?」

念を押すはちは、自らを右手の人差指で示す。
髪を後ろで一つに結った店長は、にこにこと笑う。

「えぇ。しろさんには朝方お渡ししましたが、はちさんはまだお休み中とのことでしたので。」

「…ありがとうございます。申し訳ないっす。」

はちは頭よりも高い位置まで包みを持ち上げ、深々と頭を下げた。
店長ははちの態度を過剰反応とでも取ったのか、彼の行動にくすくすと笑った。
それでは、と向かいの店に戻っていく彼女の後姿を見ている途中、足先をぎゅっと踏まれた。

「痛ぇ!」

アーケードに取り残された白い彼。
彼の青い靴は、はちの声に反応する事無く、そのまま堂内に向かって歩み続けた。




堂長席に置かれた袋を、リズミカルに次から次へと開けていく少女。
ふたを開け、きらびやかな粒の整列に目を輝かせ、丁寧な手つきで再びふたを閉める。

「やればできるじゃない。」

小さく呟き、その作業を終えた彼女の前。
しろはその場に歩を進めると、どこからか取り出したのか、大きな包みを渡した。
ゆりは青い包装を大事そうに両手で受け取る。驚く事に、包みは彼女の頭一つ分程の大きさである。

「これ、僕からゆりちゃんにです!」

彼女は「ありがとう」いつもの大人びた表情が和らいだ。
目で弧を描きながら、チョコレートを抱きかかえる手に力を入れた。
しろは「ガッツリ食べてくださいね!」と笑い、くるりと振り返る。

その目には氷が浮かんでいた…とはちは感じた。

「はちも食べたかったらどうぞご勝手に。沢山作ったから、冷蔵庫に入ってますよ。」

ゆりと対峙していた時とは違い、一瞬にして表情は陰っていた。
不貞腐れ、頬を膨らませながら意地悪く言い放つしろ。

彼の機嫌取りも、骨が折れそうな仕事になりそうである。

――悪い、お前の協力がなけりゃ、こんなに貰えなかったって。

「…そんな物食ったら、胸やけするに決まってんだろうが。」

謝罪よりも先に、悪態をつく言葉が紡がれた。
言葉を言いきるが先、はちの額に鋭利な刃物が刺さった。

「『好意』は素直に享受すべきよ。」

ゆりの手から発射された万年筆に、はちは自分のひねくれっぷりを知るのであった。

「…できてりゃ苦労はしねぇっての。」

【終】

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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