年末のご挨拶

拍手ありがとうございます。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!


気が付けば今年も今日で最後の日です。
年末に風邪でダウンするとは、私自身想像だにしておりませんでした。
今も、あがったりーさがったりーです(涙)

だから、年末な題材の話は、年明けてから仕上げることにします。
それはそれでいいのかと思いますが、まぁ、そんな感じです。年始の話も一緒に…って風になるかもしれません。

まぁそれはさておき。

今年も、黒蝶堂をたくさんたくさん愛してくれてありがとうございました。
来年が、皆様にとって素敵な1年である事を祈念いたしまして、年末の挨拶に代えさせて頂きます。
新年も、黒蝶堂を、よろしくお願いいたします(ペコリ

2012はちしろゆり


来年もこんな感じで頑張ります。
みなさま、よいお年を!!

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【小話】拝啓、バラ色の世界より【更新】

【拝啓、バラ色の世界より】

「写真を撮っても良いですか!?」

興奮した様子で、彼女はカメラ片手に顔を寄せてきた。小さく、やけに角張ったカメラだ。

「・・・そんなに珍しいっスかね?」

黒蝶堂は、建物の古さでは、街のどの本屋よりも・・・訂正しよう。”建造物”の中でも古い部類に入るらしいと、黒川はちは聞き及んでいる。かといって、メディアで取り上げられるようなドラマチックな出来事が起こったわけでもない。単に、長い年月を経た建物である。ごくたまに、郷土歴史家とやらだったり、地元の教師だったりが話を聴きにくる程度で、彼女のような若い人間が黒蝶堂の建物に興味を覚えるのは、なかなか稀有な例にも思えた。

「このお店はとっても価値があるんですよ。」

いつからそこにいたのか。彼女の隣で本棚に寄り掛かるしろが軽く頷いた。
どこから引っ張りだしてきたのか、群青の着物に袖を通している。彼は懐手に訳知り顔で、穏やかに語り出す。その素振りは、はちの祖父・伊織を彷彿とさせるから、はちは胃が痛くなる。

「随分昔の話になりますが、この本棚の前で、浪人達が堂長に斬り込みを掛けたんです。」

反体制派の中心人物を匿っているって疑惑が出てですねと、腰に差した刀の柄に手を掛け、それを抜くような素振りを見せる。まさか、本物じゃねぇだろうなと、はちは目を凝らす。

「え!そんなことが?!」

目を輝かせる客人に、

「・・・うそを言うな、嘘を。」

だまされる方もだまされる理由があるのだろうかと悩ましい頭を捻らせ、はちは二人の間に割り入る。

しろが棚を指さし、「ほら、ここに刀傷があるでしょう」と、切り傷のような線をなぞって言うから、いっそう本当の話のようである。が、それはこの間、はちが脚立を登り、本棚の上を掃除している時に付いたものだ。脚立の足が、棚の隅に引っかかり、それを知らずに力付くで動かそうとした結果だ。あのときは、ゆりから冷たい鉄槌が下ったのであり、今思い出すだけでも腕に鳥肌が立つ。

「・・・向こうで菓子でも食ってろ。」

はちは、しろを手で追い払う。傍らの彼女は、明らかに落胆した様子で、小さく俯いていた。はちは「・・・適当に見て行ってください」何もないですがと続け、逃げるように席へと戻っていった。

冬の日暮れは早い。夜が長くなったからか、この時期の黒蝶堂の夕暮れ時は、客人がまばらながらやってくる。

そして、暮れるまでは、息をのむほどにあっという間だ。

昼過ぎから来ている客人は、いまだ居る。写真を撮っては、手元のA5サイズのメモ帳になにかを書き留めている。あちらの棚を物色したかと思うと、こちらの書物をめくっている。堂長席のはちが、あくびをかみ殺すと、彼女と目が合った。そして、喜々としてペンを走らせた。
何をメモしてるんだかと、はちは帳簿を付けながら不思議に思っている。



「・・・帰らなくて大丈夫っスか?」

唐突に話しかけられ、彼女は目を通していた書物を取り落とした。落ちた場所に、クッションの敷かれた椅子があり、ちょうどそこに受け止められる形になる。彼女は、落とした本の表紙に目を落とす。こんな所に椅子があったか?と、首を傾げる。そして、立ち読みしていたはずの自分が、いつの間にか小さな座椅子に腰を下ろし、湯気の立つ湯呑みと茶菓子の横で書物を広げていたことに気づく。まるで狐に摘まれたかのような事態に、辺りを見渡せば、表通りはすっかり暗くなっていた。ついに店には彼女以外の客はおらず、時刻は午後9時を回っている。堂長の隣には、青く白い青年のしろが佇み、「もう遅いですし、ご家族が心配してるのでは」と目を細める。なお、客人を案ずる堂長の発言は、しろがこっそりと耳打ちした成果である。

もちろん、その経緯を、彼女は知る由もない。

彼女は、ゆっくりと口を開いた。

今だ、今しかない。言うんだ、言うしかない。

落ち着き払った、波一つ無い水面をかき分けていくような、大切な告白のように、彼女は口を開いた。

「私たちの世代は、本屋が絶滅した後に生まれました」

「・・・絶滅?」

歴史で習いました。団塊の世代、第二次ベビーブーム、失われた世代、戦争を知らない子供達。

彼女の言い分は偏っているなと、はちには感じられた。そしてそれ以上に、よもや聞き間違ったのかと、訂正を希望するかのように、その点をもう一度復唱する。

「・・・本屋が、絶滅?」

そうなんです。
正確には廃止って言うんですけど。

彼らは、彼女の話に耳を傾ける。

本って、紙ですよね。紙って、木からできてますよね。将来的に、資源が無くなるのは目に見えていて。電子書籍がこの時代も出て来始めていますから、わかると思うんですけど、ざっくり言うと、本自体を無くそうって方向に進んでるんです。もう随分昔に、本屋廃止条例ってのが、うちの市で採されて。でも、今でも、根強いファンがいますから、週末には他都市のごく一部に存在してる本屋を巡るツアーが開催されたりして。でも、そんな本屋も随分と数を減らしてきてるから、ますます人気に拍車がかかって。そしたら、今度は、ツアー時の移動にかかる燃料がなくなるって、大騒ぎなんです。いたちごっこなんですよ。

「だから、在りし日のお店に来てるんです」

昔に赴いて、本屋を全国から無作為に選び出して、本屋存続の理由を確かめると同時に、復活させるかどうかの判断要因とするんです。

私、その調査員に選ばれて。今日が初めての調査日なんです。

「本屋に来るのも、実はこれが人生初なんです」

段々と饒舌になり、楽しげに、かつ、脈絡もなく語られる彼女の話に、はちが混乱を極めている時、

「ぼくらにそんなお話を聞かせてくれるだなんて」

しろは目をキラキラリと輝かせ、

「過去が変わっちゃって、未来が曲がっちゃうんじゃないですか?!」

SFに心ときめかせる少年のような顔で、彼女に迫った。

「え・・・あああああ!」

絶叫が、黒蝶堂に響いた。

同時に、彼女は店の隅へ走り去り座り込んで、頭を抱えてぶつぶつと何かをつぶやき始めた。

「それは・・・ご苦労なことで。」

堂長が顔を歪めて言えば、彼女は勢いよく振り返った。聞きたいことは一つだけなんですと、再度、堂長席に詰め寄ってくる。

「このお店が存続している最大の理由ってなんですか!」

その意味は!その価値は?!

「・・・んなこと、急に言われてもな・・・」

だいたい、質問は一つじゃなかったのかよと、はちは頬杖をつく。

その時。

甲高い警告音が、彼女から発せられた。
彼女が首に下げている懐中時計が鳴り出していた。
それをのぞき込んだ彼女は「時間、だ」と、寂しそうに眉を下げ、手元の手帳を斜めに掛けた鞄にしまいこんだ。

「また、おじゃまさせてもらいますから」

それまで、お店を畳まないでくださいね。遅くまでごめんなさい。それから・・・

そんなことを言いつつ走り去っていく後ろ姿を見届け、はちは表戸を閉めた。

嫌でも視界に入る背の高い本棚。その上にちょこんと座った少女は言う。

「未来に無いものが、ここには在ると良いわね」

感情の無い表情で言うものだから、はちはため息一つ吐き、「オレたちの生活には、明日がねぇかもしれねぇのによ」遠い未来の話なんざ、わかったもんじゃねぇっての。適当なことばかり言いやがってと続け、懐中時計の客人の”でまかせ”としか思えない発言から蓄積した疲労感に、首の骨を鳴らした。

「「過去から、未来のための書物用の木を伐採する!」って流れにならないといいですけどね」

しろは彼女の座席を片づけ、床に落ちる予定だった書物を拾い上げ、棚へとしまいこんだ。それは、彼女が食い入るように読んでいた、とある作家のSF小説であった。

「次は買ってくれるといいんだがな・・・」

彼の嘆きが、彼女の調査表に反映されたのかは不明である。


【了】

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ひさしぶりの連鎖

わわわ、約2か月ぶりとか…!

不在の間も、訪問いただいておりますみなさまありがとうございますごめんなさい!

とかく、この休みでできるかぎりまわらせていただきますので…!

年末にかけて、やっぱり忙しい。気持ちはやり、ネタはたまる一方、まとめる労力が不足してるるうううう。

リハビリ兼ねて、らくらくがきがき!!
ひさしぶりにゆっくりできるこの連休は、創作に費やすんだ!

hachi   shiro   yuri


そういえば、PCに触るのもひさしぶりだ!
やばい!メールとか、見てない!

あとから追記します。

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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