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ゆきの話

【ゆきの話】

「はち!見てください!」

朝方、しろの嬉々とした声音で目が覚めたはちは、少しの間ののち、布団から飛び上がった。

開けられた二階のカーテンの向こう側。
視界を横断し、上から下へ次々に降下していく白色。いつもより肌寒い空気。

駆け寄り、勢いよく窓を開ける。
そこに広がっていた銀世界。

「やべぇ…!」

寝巻を脱ぎ捨て、いつもの服を引っ掛けながら部屋を抜けた。



屋上への扉を押すと、予想通り真っ白に染まっていた。
躊躇なく踏み出すと、さくさくと雪を踏みしめる音が耳に届く。



後ろから聞こえた扉を開く音。
振り返った途端、視界が白で覆われた。ひんやりとした感触が遅れてやってきた。

「おはようございます!」

しろの手に握られた、小さな雪玉。
挨拶代わりに連続で発射されたそれは、見事にはちの顔へヒットした。

顔を拭い、青ざめた顔をしたはちは

「お前!ここに置いていたやつらはどうした!?」

しんとした空気に響く、どなり声を上げた。

「はちの『なんちゃって家庭菜園』ですか?寒そうでしたから一階に持って降りましたよ。」

「よ、よかった…。」

返答に安堵したはちの顔に、再び雪玉が飛んできた。

テンションの降りきれたしろに、『自重』という言葉は存在しない。
ゆりに叱られるまで、彼の猛攻にはちは悩まされた。



【了】

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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