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おひがんの話 9


破裂する光のスパーク。
一瞬にして昼間が訪れたような、眩しい光。
墓地全体が受け、乱反射していく。

「しっかりするんだぞ!」

光を背に受けた牡丹が、うずくまり、耳をふさぐはちの前で、懸命に呼び掛けていた。
卒塔婆で玉を打ち飛ばしたようで、呼吸が上がっている。

「ぜってぇ信じねぇぞ…これはただのプラズマか眼の錯覚だ。

そう、そうに決まってるだろ。な、なにをビビってんだオレは…ってビビってねぇよ!」


目をつぶり、呪詛のように口から零れる言葉を、自らのツッコミで払いのけようとしている。
挙動不審な彼を深い紺の瞳で見据えた牡丹は、肩を力いっぱい叩いた。

「かぁぁぁぁつ!」

「手加減しろぉぉぉ!」



「正気に戻ったか、人間。」

はちは恐怖の反動で立ち上がり、牡丹を見やった。

「…頭が痛ぇ。」

なぜかズキズキと痛むは肩ではなく、こめかみ付近だ。
立ち上がったはいいが、襲ってきた立ちくらみに、ふらふらと上体が揺れた。
駆け寄ってきたしろに支えられ、なんとか直立姿勢を維持することができた。

焦げた臭いが、鼻をつく。
見ると牡丹の握る卒塔婆の端が、赤黒く焼け焦げていた。
光の触れた部分なのだろう。
解読不明の文字が、さらに難易度をあげていた。

夜の冷気と、光の放つ熱。
相反するそれらがぶつかり合い、熱風が頬をかすめる。

「やはりあんたは、堂長では無いんだな。」

飛びすさぶ光に対峙し、牡丹はぽつりと呟く。

袖口が焼き切れ、その下から覗く肌が、赤くなっていた。

口元を引き結び卒塔婆を握り直した。

三者めがけて、光が走りだす。

「ここをでて坂下へ去ね。決して振り返るな。」

ピンと張りつめた、静かな声音。

言い切るが早いか、その身を呈すかのごとく足を進め、光の中央へと飛び込んだ。


つづき⇒おひがんの話 10

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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