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雨上がりの話 1

【雨上がりの話】

雨上がりの夕方。
帰路を急ぐ人々の雑踏が、ガラス越しに堂内へ届く。
堂長席でひじをついたはちが、本日数十度目の溜息を吐いた。

「溜息をつくと、幸せが逃げるのよ。」

「今時迷信なんて流行んねぇよ。それに、これは深呼吸だ、深呼吸。」

ひゅるりと頬をかすめる風。
続けて、背後から聞こえた、古木の裂ける音。
たらりと流れる赤の感触。

見れば、いつぞやの万年筆が、深々と。
さもそこにあるのが当然のように、柱に突き刺さっていた。

はちは引き攣った笑いを浮かべる。
その頬に浮かぶ赤は、どうやらインクのようだ。

が。

「今度は血球をえぐるわよ。」

心なしか楽しそうなゆりは、本棚の上で微かに笑う。

「…え、縁起でもねぇことを、軽々しく口にするんじゃねぇよ。」

反論したのは、聞く方も申し訳なくなるほどの、か細い声。

「あら、【縁起】だなんて。
高尚なる『現代人』に相応しくない言葉ね。」


皮肉成分120%…だな。
はちは、浮かんだ言葉と溜息をまぜこぜにし、一気に飲み込んだ。

ふと、表に視線を移す。
すると、同時にガラス戸を開ける音が、堂内に響いた。

「これ忘れ物ですかね?」

入ってきた青い姿の青年は、大げさに首を傾げた。
その手には、幼児用と思われる、淡い黄色の傘が握られていた。

「表に立てかけられていたんです。きっと来る時は降っていた雨が、帰る時に上がってたから、
持って帰るのを忘れたんでしょう。」


「そんな小せぇガキは来てねぇぞ。元の位置に戻しときゃ、誰かが取りに来るだろ。」

しろは手にした傘をまじまじと、目の高さにまで持ち上げて見つめている。

「かわいいですね、ちょっと見ていいですか?」

はちが止めるのも聞かず、その言葉と同時にその柄を持ち直し、傘を室内で開いた。

カラフルな飴玉の包み紙が描かれた、いわゆる「ポップでキュート」なデザイン。

その中心部。
開いた途端に堂内に響いた、金属音。
はちはしろの足元に、視線を向かせざるを得なかった。

「おい、それは…?」

しろの足元には、まるでさい銭箱をひっくり返してしまったかのような大惨事が起きていた。

そう。

おびただしい量の小銭。

500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉。

これらが地を転がり、そして動きを止めたのだ。
まるで傘からこぼれてきたのかのように。

【続】

夢さん

お寿司旨いですよね。日本の誇るべき食文化ですよ。

もしかして、川魚苦手ですか?私自身苦手なので、そうなのかなって思いましたv
そしてねぎが好きとは…なかなかのツワモノ!

お気遣いありがとうございます(感涙)!
忙しいというと、全国の本当に忙しい方々に土下座して回らねば><
所詮は、その程度の忙しさですね☆

はい!
またーり行きますよ!ありがとうございます!

都築茜さん

はじめまして!秋雨と申します。
ご来訪だけでなく、まさかコメントまで頂けるとは…嬉しいですv

そしてはち…!よかったなぁ(笑)
彼は普段、なかなかに苦労してるので、
お暇な時にちょちょいっと覗いていってくださいませv

こちらこそ、よろしくお願いいたしますね♪
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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