雨上がりの話 2

追記でお返事してます♪⇒misia2009さん、月影さん
拍手だけの方も、ありがとうございます!


更新は、小話の続きです!
唐突に変な場面から始まってます。

①はこちら⇒雨上がりの話 1
もう六月だなんて、信じないんだから!



↓↓よろしければ、れっつすくろーる↓↓



【雨上がりの話 2】

「あぁ、これお財布でしたか。」

「違ぇよ!どうみても傘だろ!」

姿勢を下げ、散らばった小銭を、慌てて拾い始めるはち。
しろは傘を閉じ、それを本棚に立てかけた。
立てかける前に、それではちの頭を軽く叩く。
はちがギロリと睨んできたのだが、

「ちょっといい位置にあったので」

と、しろは笑った。


「こんなに入ってたんなら、重さで気付くだろうが。」

咎める口調で、はちはぶつくさと文句を言っている。
手近にあった空の菓子箱A4サイズ。それに次から次へと小銭を放りこんでいく。
5センチ程度の深さであるが、その下面がそろそろ見えなくなってきた。
このペースだと、フタにも詰め込んでいかなければならないだろう。

しゃがみこんだしろは、再び首をかしげる。

「全然重たくなかったんですよ。
例えるなら…朝ごはんが唐揚げとハンバーグだった嬉しい!みたいな…!」


「十分重てぇだろうが!」

「あ、夕飯の献立と混じってしまいました。」

豪華なメニューなのは、黒蝶堂むかいの弁当屋のおかげだろう。
店主は彼らをなにかと気にかけ、時々こうやって、夕飯をごちそうしてくれる。
本人いわく、

「新メニューの研究だから、代金は頂けない」

彼らにとっては、命綱と言ってもいいほどの存在なのだ。



閑話休題。

舞台戻して、黒蝶堂。



「つまり、お前の脳みそくらいに軽かった。って事だな。」

はちが自らの頭を指す。

「違います。はちは晩飯抜きと言う事ですよ?」

しろのいつも通りの笑顔には、冗談を言っている風はない。

「どうもすみませんでした。」

床に近い体勢を利用し、はちはその場に土下座をした。


数分後。

本棚の下に転がって行った小銭に、手を伸ばすはち。
ぐぬぬぬ、と顔をしかめるが、あと少し。届きそうで届かない位置にあるのだ。

その本棚のてっぺんに鎮座するゆり。
下界の騒動など我関せず。と言わんばかりだ。

「あらら、大変ね。」

そう言うと、右手の小さな指をぱちりと鳴らした。

ぎ、ぎぎぎ。

不気味な音を立てながら、誰も触れることなく、その「本棚」が動き始めた。



動く本棚ごと、無抵抗に後ろへ進むゆり。
隠れていた床が、陽の元に晒される。


「お、おぉ。…ありがとな。」

魔法をかけられているかのような、錯覚と疑うかのような、いまだに慣れない、不可解な力。

そんなはちの戸惑いに気がついたのか、
ゆりは本を傍らに置き、

「ほら、よく見ておいて頂戴。」

宙を人差し指でなぞる。
すると。

床に出来た、小銭の川。
それらに突如として訪れた、変化。
例えるなら、洪水。
見えない何かに押され、一箇所に集まる様は、日光に照らされキラキラと輝く水面を思わせる。

だが、物は言いようで、

…不気味以外の何物でもない、
はちの脳内には、地震の直前、集団で逃げだすネズミの図が浮かんでいたのだが。

ゆりがルートを描くと、従順なそれらは席を登り、机の上に隊列を作った。
そして、種類別に次々と積み重なっていき、あっという間に床の上は片付いた。
ついでに本棚の位置も元に戻した。

「すごい…!どうやったんですか!?」

しろの歓喜の声と視線に、ゆりは少しだけ口角をあげ、

「なんてことないわよ。簡単なこと。」

「だったら最初っから、やってくれりゃあいいのに。」

ぼそりと呟いたはちの足元を、本棚から飛び出した百科事典が襲った。

「手が滑ったわ。」

「てめぇ…!」

右足の親指を抑え、呻くはちを横目に、ゆりは軽やかに地へ降りた。

…はずであった。

ぷつり。

はちとしろ、二人の耳に音が届く。
そして、ゆりの耳にも。

バランスを崩した彼女は咄嗟に体勢を整え、床に膝をついた。

「大丈夫ですか、ゆりちゃん!」

「…大丈夫。」

彼女の履いていた厚みのあるぽっくり。
その赤い鼻緒が、見事に切れていた。
しかも、片方だけでは無かった。
両方。左右ともに。
まるで、示し合わせたかのようだと、はちに嫌な予感が走った。

そう、文字通り…

「【縁起】が悪いですねぇ。」

しろが外履きを持ってくる。

それを受け取り、足を通し終わったゆりは腕を組んだ。

そして、

「…随分と、厄介な物みたいね。」

誰に届かせるでもなく、ぼそりと呟く。

耳に拾ってしまったはちは眉根を寄せ、黄色い傘を見やった。


【続】

思ったより長いかも。

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misia2009さん

おぉ!4ケタおめでとうございます!
いつもこそーり拝見しております(汗)読み専ですみません

お気遣い感謝ですヽ(´▽`)ノ
更新できないと気分が悪く(笑)なるんですよね。まさに【むずむず】。
普段結構ぐうたらなので、急な変化についていけなくなったみたいで(笑)

雑談はいつも何を語ろうか悩みます。
で、結局しょうもない話を、皆様にさらしているという…
もしかしたら、黒蝶堂の方が、更新が楽だったり?なんて思いましたv
いましばし、お付き合いくださいませv

月影さん

万年筆は、ゆりが結構気に入ってるみたいですv
ぐだぐだな話になりそうなので、ゆるゆるとご覧くださいませ。

確かに不気味ですよね~。
ポケットに入れるか、警察に届けるかは、個人のモラル次第ですが(ぉ

ボチボチ続きますので、よろしければお付き合いください♪

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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