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『虹架かる空』

【はちの月企画 一日一短編】

お題⑥ 『虹架かる空』
 

どこへ行くんだ?と問えば、空の彼方まで、と意味不明な回答を寄こしてきた。

事情を聞くと、だって、虹が出てるんですよ。と、更に混乱をきたす答えが返ってきた。

「虹ってのはな、視覚度っつーのが影響して見えてんだ。」

はちは頭を抱える。目前の彼・しろは虹の輪を通り抜けたいと言う。

だから、彼を説得するために虹の成り立ちから説明しているが、
どこまで理解してくれるのだろう。

「虹は『存在』してるんじゃなくて、ただ『見える』ってだけなんだよ。
こっちから近づけば、角度が変わって見えなくなる。
だから、真下に行くことも、まして、通り抜けることも不可能ってわけだ。」


「詳しい理屈は割愛するけどな、簡単に言えば、こっちが近づきゃ遠ざかり、逆に
こっちが遠ざかれば近寄ってくるんだよ。」


しろはと言うと、頗る不服そうな顔で、はちの”御高説”を聞いている。

「”天のじゃく”な性格なんですね。」

「虹に性格も何もあるかよ。遠くからだと空と重なって見えるから、
空に虹が架かってるように見えるだけだ。」


「つまり、幻覚みたいなものなんですね…。」

しろは、哀しげな表情と共に、しょぼんと肩を落とした。

何か事情があるようだ。
仕方ない、聞いてみるか。

と、はちは面倒なことになりそうな予感をヒシヒシと感じながらも、
最大限の譲歩を見せ、問うてみた。

「虹は何色か知ってますか?」

「あ?七色だろ。六って教わる国もあるみたいだがな。」

「言ってみてください。」

「あー、赤橙黄緑青藍紫だ。」

「そこに無い色があります。」

「何色だよ。」

「白ですよ。つまり、しろ。僕です。
だから、虹の元に行けば、僕の持たない何かが得られるかもしれないんです!」


「はぁ…相変わらず訳の分らん理屈で動こうとするやつだ。」

「見えてるうちに行かないと、陽が暮れてしまいます!」

「…仕方ねぇ。ちょっと、ついてこい。」


はちはしろを連れ、屋上へとやってきた。
端に位置する、家庭菜園。
トマトが赤々と実っているから、そろそろ収穫時だ。

「まだ見えますよ!急いでいかなきゃ…」

後方で空を指し、大騒ぎするしろを放置し、はちは
太陽を背に、ゾウのジョウロで水をやった。

実の部分を避け、緑の葉に優しく注いでいく。

はちは目元を下げた。
こういうのは、原理を辿れば簡単に引き起こせる現象なのだ。

「見てみろ。」

はちが示す先を、しろが覗きこむ。

そこではジョウロから草木へと注がれる水が緩やかなアーチを描いており、
キラキラと反射する水滴から成る、小さな虹が架かっていた。

「うわぁ!すごい、すごいです!はちは、魔術師でしたか!」

「違う!オレは人間だ!」

「でも、こんな奇跡を起こせる人が、ただの人間な筈がありません!」

水滴に負けないほどキラキラとした瞳を向けられ、いたたまれなくなったはちは
ぷいと横を向いて、腕を組んだ。

「こ、これはあくまで”ついで”であってな。
今朝方は雨が降ってたから、水やりしてなかったなぁと思って。」


どことなく居心地の悪さを感じたはちは、ばりばりと後頭部を掻く。

するとしろは、暫く首を傾げた後、右手で左手の掌をぽんっと打った。

そして、元気よく手を挙げた。

「はい!わかったことがあります。」

「え?」

はちは目を見開き、にこにこ笑うしろを見た。

しろは言い澱むことなく、言葉を紡いだ。

「はちって、やっぱり素直じゃないんですね!」

暫しの間。

「…どこからその結論を導き出してきたのか、さっぱり理解できないんだが。」

はちは眉根を押さえ、懸命にこれまでのやりとりを思い出そうとする。

「いいんです。あくまで”ついで”なんですよね。」

しかし、しろの思考過程はまったく見えてこない。

「だから、最初からそう言ってんだろうが。」

「やっぱり、得るものがありましたよ。」

しろははちの手からジョウロを奪いとり、はちの代わりに水やりの役割を担った。

「あれ、うまくできませんねぇ…。」

「おい、やりすぎだ!腐るだろうが!」

限度を知らないしろに痺れを切らし、はちが再びジョウロを手にするのは、
それから間も無くの事であった。

【完】


これくらいの長さが、小話よりも短くて描きやすいなぁ。
まぁ内容は、あいかわらずゆるりと系で(苦笑)
冴えわたるツッコミ!とかも無いのですが…日常ってこんな感じです…よね?

少しでも楽しんでいただいたら幸いですv



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夢さん

あ、やりすぎてしまいましたかね…v
でもでも、私の感謝の気持ちって事で、どうぞお受け取りください←迷☆惑

夢さんのイラストが、「偽物乙www」なわけがないですよ♪
もし御気分を悪くされていたら…と考えると、夜も眠れないほど不安ですががががが。
決して他意はありませんので、ご理解ください><

何度も言いますが、ほんとに嬉しいですvがんばりますね!



茜さん

こんばんは!お久しぶりです~♪
毎日暑いですよね…発狂しそうな…いや、してしまった気持ち、すごくわかります。
はちの笑顔にそんな効能があるとは…笑 知りませんでした。

PCサイト復活おめでとうございます!
あ、うちもあるので、もし茜さんが良ければうちからも貼っていいでしょうか…?

それなら、いつでも茜さんの元にいけまs(ry←

こちらこそ!小説楽しみにしておりまっすので!
こらからも、よろしくお願いいたします><
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秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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