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『空想庭園』

*ブログ表示の不具合をご報告いただきました。
只今絶賛原因付探索中です。ご迷惑をおかけしますが、今しばしお待ちください(汗)

私も調子悪いんだけど!?という方がいらっしゃいましたら、お手数ですがお知らせくださると助かります。


久々に、短編更新です!
ネタはあったのですが、なかなかまとめられずなのでした(汗)

季節は夏。
三人称が多いうちとしては珍しく、はち視点の物語となっております。

よろしければ、どうぞお付き合いくださいませ♪


【はちの月企画 一日一短編】

お題⑩ 空想庭園


日中、地面を焦がしていた太陽が、西の空へ沈んでいっているようだ。
閉鎖的な黒蝶堂内にいても、差しこむ光が和らぐのがわかる。

そろそろ頃合いか、と、席を立てば、棚上のゆりと目があった。

「意外に面倒見がいいのね。」

降ってくる言葉には、相変わらず抑揚の欠片もない。

「意外に、は余計だ。オレが面倒見ねぇで、誰が見るってんだ。」

ゆりは再び、手元の分厚い本に目を落とした。
まったく、協調性の無い奴だ。

場を後にし、奥間を通り過ぎれば、ニ階への階段がオレンジ色の光で照らされていた。

屋上。
汗が吹き抜ける風に冷やされ、体温が急激に下がっていく感覚。
深呼吸を一つ。

この薄暗い古書店の中に居ても、気が滅入らないのは、一息つけるこの場所があるから。
なんとなく、そんな事を思う。

設置されている蛇口をひねると、勢いよく水が溢れてきた。
しばらく触れて涼を得た後、液体をジョウロへ並々注ぎこみ、屋上の片隅へ足を運ぶ。

「悪いな、遅れて。」

誰が聞くわけでもなく、菜園に対し話しかけるのは、昔からの癖だ。

と言うのもこれは、じいさんから教えられた、園芸技法のひとつで。

「話しかければ草木はよく育つ。要は、愛なんだよ。」

だなんて、歯の浮くような事を平気で言ってたか。

「待ってませんよ。僕も今来たところです。」

突然話しかけられて、びくっと体が反応した。

「…ったく、驚かせんな。第一、お前はお呼びじゃねぇんだよ。」

「うわぁ、冷たいですね。」

音も無く気配も無く忍び寄ってきた後方の人物は、その言葉とは裏腹に
にこにこと笑っている。

まったく、なにがおもしろいのか。

「こんな遅い時間まで、ご飯お預けなんですね。」

「このくそ暑い昼間に水やりしたら、煮えたぎるだろうが。」

「おみそ汁も、たぎらせたら美味しくないですからね。」

「そうなのか?」

「そうなのです。」

横にしゃがみこんだしろへ、適当に相づちを打ちながら、野菜畑に水をやる。

味噌汁って事は、大豆か。
大豆ってのは、自家栽培できるはずだが、今度やってみるか?
やるならここじゃなくて、地に着いた中庭の方がいいか。
でもな…。

「手間暇を考えたら、買った方が、安いかもしれないですね。」

「勝手に人の心を読むな。それに、続きを言うんじゃねぇよ。」

水を継ぎ足し、畑全体に掛け終えてしまう。

そろそろ草むしりをしなければならないだろう。
雑草ってのは、どうしてこうも生命力があるのだろうか。

「むかし、ここに飴玉を埋めましたよね。」

「…そんなこともしたな。よく覚えてるな。」

「はちがまだ、可愛げのあった時代ですよ。」

「黙れ。」

自然と眉根が寄ってくる感触は、嫌でもわかるものだ。

と、しろがポケットから小さな容器を取り出した。

「ここ、もらいますね。」

差したのは畑の一角。何も植えられていない狭いスペースだ。

「いいけどよ、なにを植えるんだ?」

えへん!と胸を張り、見せつけてきたのは見覚えのある黒い種。

昼食時に食べたスイカから、取り出しておいたのだろう。

「スイカを大量生産して、がっつり売りさばくのです!」

「言っとくが、その種からじゃ、でかくて旨いスイカはできねぇぞ。」

「え!?」

「普通は、苗を買ってきて植えるんだ。
それに、こんな隅じゃなくて、もっと広い場所じゃねぇとな。」


「そうだったんですか…。」

がっかりしているのが、手に取るようにわかる。

だが、これは家庭菜園を趣味とする者として当然の指摘だ。

しかししかし、がっかりさせてしまったのは自分、それは事実で。

何が言いたいかって?
まぁ、フォローしたって罰は当たらねぇだろうって事だ。

「苗があればできるんだからよ、そんなに落ち込むことはねぇよ。」

「…種さえあれば、バナナやパイナップルや、リンゴやミカンだって作れるのかと思いました。」

オレのフォローを返せ、この電波が。

「…残念ながら、お前の『空想庭園』は、一部分しか完成しねぇな。」

「某時計台みたいですね。」

「スペイン人は気が長いのかねぇ。あれは、後世の人間に遺す仕事量にしちゃあ重すぎる。」

すると、しろはくすりと笑った。

「跡を継ぐ人がいてくれて、嬉しかったでしょうね。」

その言葉に、誰かの顔が浮かんだ気がするが、きっと気のせいだ。

「設計図通り造られてる保証はねぇよ。余儀なく変わることだってあるだろう。」

せめて設計図くらいは欲しかったものだ。
自称化け物…憑者とか言ったか。
その居候は、大したアドバイスもくれねぇし、第一暴力的なんだよな。

「それはそれで、おもしろいと思いますけど。」

「仕事を継ぐ、プレッシャーってのがあるだろ。」

「少しは感じてるんですか?」

「誰が。」

「たまには素直にならないと、いつか爆発しますよ。」

「人間が火薬も無い状態で、爆発するわけねぇだろ。」

まったく。

今まで、じいさんの仕事っつー仕事をやってるわけじゃねぇ。
書類整理と店番程度。
このままじゃどうにもならねぇってのは、痛いほどわかってるがな。
堂長って一体何なのかも、わからねぇし。
正直どうすりゃいいか、まだ手探り状態なんだよ。

だからこそ、

「もしはちが爆発したら、片づけるのは僕なんですから、小規模にとどめておいてくださいね。」

「お前に、この畑を任せるわけにはいかねぇよ。」

オレは、自分のできる事をやるだけだ。

空を仰ぐと、不気味なほどに美しく染まった夕焼けが映る。

「欲を言うならこれ以上、わけわかんねぇ事には巻き込まれたくはねぇな。」

ふうっと溜息とともに、かすかに苦笑がこぼれた。
きっと、そう簡単にはいかないのだろうという事を、自分が一番よくわかっているから。
そう、なのかもしれないな。

【終】


追記からお返事です⇒misia2009さん
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おへんじ

misia2009さん


いつもお世話になっております。
バトンパスも感謝感謝です♪そして、重複恐縮です><

一周年ですか!おぉお揃いですね!
雰囲気だなんて(照)ほんとまだまだまだmdひよっこなのです。
文体変わりますよね!表現とか、言い回しとかもコロコロ変わって、
これ、ほんとにわたしが描いたんだろうか…?
って思う事も(苦笑)

そして、カラムの不具合ですが。
只今絶賛修理作業中です…原因がまだ特定できておりませんでして(汗)
見苦しいところをお見せしていて申し訳ないです。
うちのPCからは表示されているので気づきませんでした。ご報告いただき、本当にありがとうございますv
早々に、なんとかしたいです(遠い目)
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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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