夢のあと 3

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読み本は、完全に自己満足な企画ですが、たまーにだけの更新にするのでご了承ください。
ってわけで、はちの月企画 の更新ですv

【夢のあと 3】

初回⇒夢のあと 1
前回⇒夢のあと 2


まだまだ続きます!
↓↓よろしければ、れっつすくろーる↓↓



「そう!ぼく、昨晩夢を見たんです!」

はちは現在、その詳細を聞き出そうと、四苦八苦しているところである。

「気づいたら枕の下で、黒い犬が眠っていてですね。」

「そんな高さのある枕じゃ、首が痛くなるだろ。」

当然だが、黒蝶堂に犬はいない。
いるのは、犬のような名前の2人。

「触っていたら、余りの手触りのよさに眠ってしまいそうになりまして。
実際少し眠ってしまったようで。」


「夢の中でも眠るなんざ、明らかに過剰睡眠だ。」

「でも、一晩で二晩分眠れるなら、かなりお得だと思いませんか?」

楽しそうに話すしろの隣、
はちが、何度目かの溜め息を漏らす。

「違う。お前は一晩で、三晩分以上の睡眠をしたんだよ。」

しろは、身振り手振りの動作をピタリと止める。
はちの台詞に、理解が追いついていかないようだ。

はちは脳内で思考を整理する。

夢の中の夢の中で眠りに落ちれば、合計は3回になる。

黒蝶堂に犬はいないから、現実世界において黒い犬は、枕の下には眠れない。
だから黒い犬は、しろが見た夢の中に登場したわけである。

つまり、現実世界で眠ったしろは、黒い犬を枕に眠りにつくという夢を見て。
夢の中のしろは、ふとした瞬間に犬に気付き、触っている内、再々度眠りに落ちた。

もしくは、気付いたのではなく、”気付いたという夢”を夢の中で見ていたのかもしれない。

最短ルートで行くと、夢の中の夢の中で、わずかな覚醒の後、眠った。
つまり、眠ったのは三回分。

この場合、三度目の睡眠は、一度目の夢の継続ともとれる。
二度目の夢の二度寝を、一晩分と数えるのは強引か。

いや、二度目とは限らないのか。

どのタイミングで黒い犬を枕にしたかは不明だから、いずれにせよ、少なくとも三晩分。
もしくは、それ以上か。

「…いろんな意味で、器用な奴だな。」

はちは深く考えない様にした。所詮は夢の話。
合わせ鏡は、無数の世界を作りだす。
それと似たようなものか。

そんな核心に迫れない、無意味ともとれるやりとりの最中。
ゆりがどこからともなく、かつ、音も無く現れた。

「しろ、それ、もしかして暴力?」

「おっ、驚かせるんじゃねぇよ!」

姿勢を崩し、がたりと音を立てるはちに、ゆりは少しも視線を寄こすそぶりはない。

少女は目を見開き、恐る恐るしろのガーゼが貼られた頬に手を伸ばす。

はちは思う。
切り揃えられた前髪の下、普段から白い顔色が、いつも以上に優れない気がするのは、気のせいか。

と、しろはしゃがみこみ、ゆりの右手を自らの左手で覆った。

「大丈夫ですよ。このくらい、大したことないのです。」

はちは思う。
しろがにこりと笑うと、ゆりの目に浮かんでいた、僅かな動揺が、だんだん収まってきた、
ような気がする、と。

一度目を閉じ、ゆっくりと開いたゆりは

「そう、大事にね。」

はちは思う。
普段よりも、数段穏やかな口ぶりで、しろを気遣ったような気がする、と。

全部が気のせいだと言われれば、そうなのだが。
ちょっといい話か?と問われれば、
「それはそう見えるだけで気のせいだ。」
と断言してやる。

と、完全に存在が空気と化しているはちは、内心、意地悪く毒づく。

ゆりは、

「ちょっと出てくるわ。」

と、誰の返事も待たず、いつも通りの、全く迷いの無い足取りで歩んでいった。
もちろん、はちには一瞥もくれずに。

そんな少女の後ろ姿を見送ったはちが、後頭部を右手で乱雑に掻く。
2人分の茶を淹れたしろが、はちの向かいに座った。

一口啜ると、はちは仕切り直しをかけた。

「…で、話の続きだが。」

しろは人差し指を立て、

「そう!ぼく、昨晩夢を見たんです。」

「そこからか!?」

仕切り直しは、失敗に終わったようだ。

【続】

夢の話。考えているうちに、頭が痛くなりました。

短編がんばるぞ!ってことで、ランキングですv
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秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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