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夢のあと 7

前回の更新後のコメントと拍手ありがとうございますv
うをを、がんばらねば!と気合を入れ直した次第です。
お返事をそれぞれのコメントの下に追記しましたので、よろしければどうぞ。
そして、深夜の更新です。丑三つ時です。


前回まで⇒1~6のまとめ⇒夢のあと まとめver.

切るところがおかしかったので、唐突な場面から始まります。


【夢のあと 7】

まだ起床には早い時間だろう。
朝に弱いはちは、いつもしろにたたき起こされている。
だから、今朝は珍しがられるかもしれない。

「ほら、早起きは三文の徳なんですよ。」
と笑うしろの姿が目に浮かぶ。

「もしかして、これが幸運ってやつか。」

はちは薄ら笑いをかましながら、天井を仰ぐ。

そして、足元の違和感に気付いた。
ふさふさとした、温度のある質量。
冷たくも柔らかい、小さな手に触れられているような感触。
ざらざらとした、粘着質の物体。

はちは慌てて、布団を蹴る。
目線の先。

そこには、長い尻尾を左右に大きく振る、真っ白い犬の姿があった。

犬ははちの上着の袖を銜え、はちを動かそうと躍起だ。
一方、はちは突然のことに、腰を抜かしたまま動けないで居る。

なんで、なんでうちに犬が居るんだ。

答えは明瞭、ここは再び自分の夢。
しかし先程夢は、ジ・エンドを迎えたのでは?

まったくわけがわからない。
堂内は、やけにリアルに描き出されている。

ここは、どこなんだ。今は、夢なのか?オレは、どこにいるんだ?

どれくらいの時間が経ったろうか、はちは犬に連れられ1階へ下りていた。

いつも通りに堂長席に着くと、犬はぶんぶんと尻尾を振る。
そして、その席から見える位置にある本棚を見つけると、

「ウソだろ・・・?」

一直線に、本棚を駆け上がった。
昼間にしろが説明したとおりだ。
彼は、ここには重力がないのですよとあざ笑うように、真上に向かって走ったのだ。

一冊の本を銜えて、堂長席の机上に置く。尻尾を左右に大きく振り、じっと見つめてくる視線に負けて、
はちは仕方なく、その頭をなでる。犬は心地よさそうに目を細めた。

しばらくして満足したのか。はちから少々の距離をとり、白い犬は伏せの状態を取った。

「まったく、なんだってんだよ。」

はちは机上に目をやる。一冊の古ぼけた本。
しろの話の通りだ。
夢の中が操られていると考えるなら、なんともまぁ気味の悪い話だ。
その本を開くと、次の日にはいいことがある。
はちは表紙に手をかけた。

そして。

「はち!もう朝ですから、起きて下さい!」

「・・・お前は、本当に間が悪いよな。」
「何の話ですか?」

夢は一瞬にして霧消し、本当の現実がもたらされた。

寝ぼけ眼を強引に押し開け、顔を洗い身支度を整えたはちは、階下に降りた。
台所から、朝食の準備をする音が届く。
その横を足音一つ立てずに通り抜け、堂内に到達したはちは、足の赴くままに歩く。
そして気付けば、とある本棚の向かいに立っていた。
背伸びをし、例の本を目で探す。

「まさか、な。」

あるわけないと思いつつ、覗いたそこ。
例の本は、当然といわんばかりに例の場所にあった。
ここまで一致すると、偶然で片付けるには出来すぎている反面、気味が悪い。
だが、しろの言うとおり、幸運が舞い込むとしたら?

「少しは期待してもいいのか?」

生唾をごくりと飲み込み、ページをめくる。
一枚、二枚。
もし、じいさんのヘソクリが隠されているとしたら?
その額はきっと、大金ではないだろうが、今晩のおかずを一品増やせるかもしれない。
三枚、四枚。
もしや、この本の旧所有者が随分な金持ちで。
八枚、九枚。
財布に入りきれない大金を、仕方なく本に挟んだ可能性もある。遂には気付かぬままに。
二十八枚、二十九枚。
売りに出したとか。
めくるごとに、期待は否が応でも膨らんでいく。

そして、ちょうど中間地点に達したとき、一枚の紙切れが宙を舞った。

ヒラリと地に落ちたそれを、身を屈め拾い、堂内に差し込む朝日に照らす。

「なんだ、こりゃ。」

紙幣にしては分厚い。
かといって、札束というわけではない。
裏返し、表へ返し。
布製の触覚が二本生えた厚紙。その中央には、色あせた桃色の花弁が一枚一枚、丁寧に貼り付けられており、
片隅には、透かしの入った黒い蝶をかたどるイラストが添えられている。

「なんだよ、ただのしおりか・・・。」

その声音は、寝起きだからという理由を差し引いても、低い。明らかに、落胆の色が浮かんでいるようだ。
はちはそれを堂長席の机に放り、本を乱暴な手つきで元の位置に戻す。
そして、昨日しろが使っていた脚立を畳むため、金具に手をかけた。

「まったく、使ったらちゃんと片付けろっての。」

ガタガタと音を立てて、一本足となったそれを脇に抱える。
そのとき。
背後でバサリバサリと、聞き覚えのあるいやな音。
前後不覚。
振り返れば、梯子の後方が例の本棚に刺さり、並べられた書物が床へ落下してしまっていた。
図らずも一山築いてしまった本の群れを見、飛び交う埃に咳払いをしたはちは、たいそう不機嫌な顔で脚立を置いた。
座り込み、黙々と本を立てかける。
その背中を覗き込むように、

「はちー?だいじょうぶですかぁ?」

音に呼ばれ、朝食の準備を終えたしろが堂内へと顔を出した。

「お前が使ったんだろうが」

はちは脚立を指さす。しろはにこっと笑い、
「だって、はちも使ったんでしょう?」

と言う。はちはため息一つ。

「オレのは、手の届く範囲にあったさ」

「はちも夢を見たんですね!いったい、何が入ってたんですか?」

疑問符と感嘆符が忙しないやつだ、としろを見上げるはちは、

「特に何にもなかったさ」

無愛想に言い放つ。
本を積み上げ直しきると、背伸びを一つ。
脚立を持ち上げ、訝しげな表情のしろの前を横断していく。

「オレの前に現れたのは、黒じゃなくて白い犬だったから、きっと人違い…じゃなくて、犬違いだったのさ」

【続】

誤字脱字の予感がします。
朝方にまたチェックします。


短編がんばるぞ!ってことで、ランキングですv
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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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