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ひとひらの瞬き

拍手、コメントありがとうございますv
コメントの方にはコメ欄に返信しましたので、よろしければどうぞ♪
そして、


連続短編更新です!

こういうノリで、描いていきたかった。でも、まだまだ遅くない!

やっと、調子がつかめたので、こんな感じでがんばりたい。

↓↓てなわけで、短編更新です↓↓


はちの月企画 一日一短編

『ひとひらの瞬き』

「はち、そんなに睨まないでください。ぼくは蛙じゃないんですから。」

しろがはちの前で示したのは、紺色の丈夫な厚紙。
はちは、眼鏡の柄を親指の腹で押し上げ、じっと目を凝らす。

「子供だけじゃなくて、大人も泣き出しそうな形相になってますよ」

眉根がギリギリまで顔の中心に寄り、目は黒目だけが辛うじて見えるほど、はちは、その表紙を穴があくほどに見つめ続ける。
そして、数秒後、そこには握り拳ほどの大きさで【回覧版】と書かれている事を知った。

「最近目が見づらくなったんだよ。視力がさらに落ちたのかもな。」

「眼鏡の度が合ってないんですかねぇ?」

幼い頃から視力に支障を来していたはちにとって、眼鏡は生活を送る上での命綱。
いや、命そのものと言っても、過言ではないのかもしれない。

「なら、検診でもしてみましょう!」

「眼科にかかれ、つっても、そんな金はねぇぞ」

「知ってますよ、だから、うちですればいいのですよ」

「確かにここにはガラクタが山積みになってるが、
この中から目に当てる黒いアレとランドルト管を見つけ出せる確率は、かなり低いと思うが」


「いえいえ、もっと簡単な方法があるじゃないですか。」

しろは、自らの人差し指を、自らの顔の横に添えた。


「はち、これは何本ですか?」

楽しげな表情を浮かべるしろの向かい。
苦悩に顔を歪めるはちは、低いうなり声をあげている。

「…2本。」

「正解です!」

その言葉に息を吐き、『まばたき』としては力強く、ぎゅっと目をつぶる。
はちは自らの眼球に広がる乾燥地帯が、湿潤な雨でゆっくりと潤されていくような感覚を覚えた。

「なら、これは何本でしょう?」

後ろ手を高速で眼前に引きつけ、更に加速したスピードで右手を振動させるしろ。
指を手首から揺らせば錯覚が生じ、立てた一本の指が二本にも、三本にも見える。
その正答数から、視力を図る。医療費も、人件費もかからない簡単な方法である。
視力が落ちているとしたら、正確な本数がわからないだろう、という安易な考え方だ。
しかし、はちにとってはなかなか難しい課題になっているようで。

「…!1本だな!」
指で1を作り、意思を示す。
が、

「残念、4本でした。」

楽しげな声に、ぐぬぅ、と頭を抱えるはち。

今のところ、正答率は五分。
もちろん、彼がふざけている様子は無い。かなり苦戦しているようだ。

「やっぱり視力が落ちてるみたいですね。レンズに虫メガネでも重ねてみましょう。」

はちから眼鏡を取り、セロハンテープで虫メガネを貼り付け始めるしろ。

「おい、やめろ。」

「できました!」

はちの制止は届かないまま、
あっという間に、不格好な眼鏡ができあがった。

はちに無理やり掛け直すと、レンズの重みでズルリとズレる。

はちが戻しても、戻しても、戻しても戻しても、意味が無い。
その様を見て、しろはぷすっと噴き出した。

「笑うな!お前がやったんだろうが!」

「じゃあ、この次の問題で不正解なら、買い直しましょう。」

「え?どうしてだ?」

「だって、はちの目が見えなくなったら困りますからね。」

「大げさな…第一、そんな金があるのかよ。」

「えぇ、2000円札のお釣りがありますからね!ちょっと遣っちゃいましたから。」
えへへ、と笑むしろ。

はちは、よく分からないガラクタがテレビの上に置かれていた事を思い出す。

「ちなみに、いくらだ?」

「30円です。」

はちは悟る。
ここは、絶対に正解しなければならない、と。
さもなくば、廃棄寸前の中古の中の中古か、闇取引の結果に得られた怪しげな眼鏡を掛けさせられる事になる。

目薬をさし、虫眼鏡をはずして、臨戦態勢。

「なら、行きますよ。」

はい!と掲示される、最終問題。
はちは、つっと目を閉じ、深呼吸。

そして、『ひとひらの瞬き』がはちの眼に宿った。

しろの右手が、止まって見えるようだ。はちの口元が、にぃっと笑った。
手を使い答えを作って、しろに向かって突きだす。

「7本だな!」

「おぉ、正解です!」

「簡単だったな。」

「ならもうしばらく、その眼鏡を使い続けるしかないですね。」

「まぁ、暫くはこれでな。」

正解した達成感にまみれ、はちは珍しくすがすがしい気分を味わった。
だからこそ、何の疑問も抱かなかった。
そんな様子のはちをじっと見つめたしろは、後ろに手を回す。
そして。

「せっかく驚かそうと思ったのに、びっくりさせ甲斐がない人ですねぇ。」

「何か言ったか?」

「いえ、なんにも。」

いつもと変わらない、中性的な声音でしろは答えた。

その背後。
しろはいつの間にかはめこんだ肌と同系色の手袋を、はちが気付かない様にこっそりと外した。

「たまには、楽しげなはちを見るのも一興ですね。」

と、一人微笑みながら。

そしてしろにとっての元通り、”5本”に戻った指を翻らせると、
握りしめていた500円玉を自分の貯金箱に収めた。
これが一杯になる頃には。

「その時はきっと、ですね。」

その時は、可愛いフレームにしてほしいですねと、しろはあれやこれやと思いを巡らせた。

【終】

短編がんばるぞ!ってことで、ランキングですv
気が向いたら、おしてやってください。



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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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