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『真っ白なページ』


コメントのお返事をそれぞれの記事で行いましたので、よろしければご覧ください。
本日は、会話文中心の短編更新となっております。


【はちの月企画 一日一短編】

『真っ白なページ』

『真っ白なページ』の上を、お世辞にも綺麗とは言えない歪んだ文字が並んでいく。

「いい加減なナレーションをつけるな。」

書き手、黒蝶堂堂長の黒川はちは文面から顔を上げ、背後から覗きこんでくる者を
手で邪険に払う。

「だって、はちの字は見にくいですよ。」

「醜い、な。見えるかどうかの濃さは十分だろ。」

文字の見える目を持つはちは、しろの指摘にすぐさま反論する。

「目が悪いのに、そういうとこは目聡いんですね。」

追い払われたしろは、机から少し離れた位置にて、無邪気な笑顔で言い放つ。

「聡くて結構。あとな、その表現は悪口だから、余所様で恥をかく事のねぇようにな。」

はちは日誌に再度視線を落とし、午前の出来事を記しながら注意を促す。

「わかってますって。」

「…確信犯かよ。」

ボールペンが字を紡いでいく。

「『朝は七時に起床、七時半に朝食。八時から掃除、布団を干し、洗濯。』と。それから…」

「あ、今朝の白菜の御漬物は僕が漬けた物だったって付け足しといてくださいね。」

「あ?あと5秒早く言えよ。」

「お願いします。」

「…仕方ねぇな。『朝は七時に起床、七時半に朝食。八時から掃除、布団を干し、洗濯。食器洗いは
しろが担当。階段にてゆりと鉢合わせ。何故か睨まれる。オレが悪い事をしたのか?
…ちなみに朝食の白菜は、しろが漬けたものらしい。』って、ここでこの話を蒸し返すのかよ!」


自分の記述に対し、テンポの悪い乗りツッコミをかます。

「はちがきちんと構成を考えて書き始めないからですよ!」

「誰のせいだ、誰の。」

「でも、ちゃんと毎日続けてますね。すごいと思います。」

しろの素直な称賛に、はちはふぃっと顔をそむける。

「…オレには文才なんて欠片もねぇからな。思うままに書くしかねぇのさ。」

「でもこの部分、怒られないんですか?」

そう言うしろが指差す先には、「何故か睨まれる。」の一文。

はちが現在書いている”黒蝶堂日誌”は、はちが黒蝶堂に戻り、堂長に就任させられた
日から、ゆりに命ぜられ、毎日欠かさずつけている。一日一ページ、多い時は数ページに渡って。
そして書きあげたら、黒蝶堂憑者のゆりに見せる規則となっている。

「日記を提出させるなんざ、オレは小学生かっての。」

はちは当初、散々不満不平を言ったものだ。
だがそのたびにゆりが、無言の圧力を使って、時に武力行使を伴わせながら、
はちに書く姿勢を身に着けさせたのであった。

その彼女に対する文句ともとれる記述を、彼女の目に触れるところに書くとは、
はちもなかなか命知らずだと、しろは笑いながら示唆しているようだ。

「いや、嘘を書くとゆりに踏まれるからな…。」

「喜んでるんじゃないですよ!」

「誰が踏まれて喜ぶものか!」

声を荒げるはち。冗談ですよ、と笑うしろが、言葉の先を促すと、
うんざり、と言わんばかりの表情を浮かべたはちは最短距離での説明を加えた。

「簡単に言えば事実とか、思った事とかか。オレの視点から見えたことだけを、
できるだけ詳細に書くってのが、最優先事項なんだそうだ。」


「へぇー、じゃあゆりちゃんは怒らないんですか?」

「まぁな。ほら、ここに認め印の欄があるだろ?」

ページの端には、正方形の枠が印字されている。
はちの話にしろは「ふむふむ」と真面目に耳を傾けている。

「夜に渡すと次の日の朝、ここにチェックが入って席に置かれてる。まったく、
ちゃんと読んでるんだかいねぇんだか…。」


はちは手持ちのボールペンをくるりくるりと回す。
学生時代の癖が未だに抜けないでいるようだ。

「なるほど、そういうシステムだったんですね。」
「納得納得」と、しろは頷いた。

「なら、お客様の名前もきちんと書いとくべきですよね!」

いつものように人差し指をたてるしろに、はちは溜息を一つこぼした。

「…まずは、客を呼ぶところからだな。」

【終】

なんだか前にも同じ落ちを描いた気がする…


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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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