【天使と歌声】

コメントの返信をいたしました!ありがとうございます~。
ぼたん
 /黒蝶堂が、ゲームになるぞ!\
     もちろんウソなんだぞ!


さて、久々の短編です。
今回は、ゆりと、もうひとかた。新しいやつが登場しますb
・・・描く側が手を焼きそうになるほど、アクの強いやつです。
相変わらず、駄弁ってるだけですが。


↓↓よろしければ、ずずいっとどうぞ↓↓

【はちの月企画 一日一短編】

【天使と歌声】


「煙の事を、『紫煙』って言うのは何故だ?納得できないぜっ!」

足裏で幾度も地を叩き、組んだ腕の先。
右手の人差し指をせわしなく動かし続ける男。
誰に対してでもなく、一人でぶつぶつと文句を言っている。

「どう見ても白だっ!」

「『天使と歌声』、それに母親が同時に誕生するこの場所に、あなたはひどく似合わないわね。」

産婦人科を主に扱っている、遥光の町でも屈指の巨大な病院。
その屋上はただただ広く、降り注ぐ陽の光が地に当たって空へと反射する。
干された大量の白いシーツが、風にはためく。

その一角。

「天使?どれも似たような猿にしか見えないぜっ!」

男はイラ立つ態度を隠そうともせず、短くなった煙草を携帯灰皿に押しつけ、煌々と灯っていた火を消す。
といっても、喫煙を遠慮するわけではなく、二本目に火を点けるためだ。

ゆりは、黄色をまとう彼に呼び出されていた。



「生まれた時に息吹き、死ぬ際は息を引き取るのだそうよ。」

「生は吐き出し、死は吸い込むってか。よくできてるなっ!」

二本目に満足したのか、黄色い彼は冷静さを取り戻し、ゆりの話に耳を傾けている。
柄が長い内は会話も可能なのだが、段々と短くなるにつれ、彼の機嫌は悪くなる。

咥え煙草は、いわゆる彼のイライラ指数といっても差し支えない。

「あなたも、息吹き始めた時があるの?」

ゆりが意地悪な笑みを浮かべ、彼に問う。
彼は口を綻ばせ、遠くを見るような顔で応える。

「そんな数百年前の話、もう忘れたぜ。」

「あら、数千年の間違いじゃなかった?」

その言葉に、男は空へ”紫”煙を吐き一息入れると、

「そうだったかもしれないなっ!」

横顔で、ふっと笑った。



「これ、嬢ちゃんのだろっ?」

弾む語尾と共に差し出すは、三本の万年筆。
それぞれ白、赤、黒を基調とした全体に、黒い羽を持つ蝶のデザインが持ち手に施されている。

「あら。」

ゆりはしげしげとそれを眺め、あぁ、あの時の。と呟いた。

「あいつが泣きながら持ってきたんだぜ。少しは手加減してやってくれ。」

苦虫を噛み潰したような表情で、男は言う。

「軟弱者ね。」

ゆりが冗談めかして返す。

が、向かいの男にとっては笑いごとでは無いようで。
煙草の火が燃え盛り、柄が見る見ると短くなっていく。
帽子に遮られ、表情は明白ではないが、黄色い光が帽子の隙間から零れている事は遠目でも分かる程度。

「まったくだっ!」

途端、彼が握っていた屋上の柵が、ぐにゃりとひしゃげた。

まるで絞ったあとの雑巾のように、綺麗なロール状を形成した。
その上、直線だったパイプが下方向へ変形している。
男は慌てて手を離す。が、後の祭りだ。
やっちまった、と顔に書いてある。
一方。ゆりは驚くでもなく嘆くでもなく、首を左右に振る。

「あなたこそ、少しは加減して頂戴。」

「…失礼。」

次の瞬間には、男は平静を取り戻していた。
三本目に火を点けたのだ。
力ずくで白い柵を元に戻そうとすれば、パイプは更にあさっての方向を向き、修理をしているのか
破壊をしているのか、分からない有様。

ぐぬぬぬぬ、と唸る男へ、ゆりは一言。

「その子が息を吹き返すかは、あなたの力加減次第よ。」

言い放つや否や、

「ちょっと、嬢ちゃん、手伝ってくれっ!」

男が制止するのも聞かず、どことなく軽やかな足取りで、屋上を後にした。

【終】

黄色の彼は、また後日に登場させられる…といいなぁ。

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秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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