スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【小話】幽霊退治は黒蝶堂にお任せあれ【更新】

こんばんは!
今夜は、小話更新です。
さくっと一話読めるようなものが作れないかなと思いながら描いたので、
黒蝶堂の一場面を切り取った感じの作品になりました。

↓↓よろしければどうぞ↓↓


【幽霊退治は黒蝶堂にお任せあれ】

「あの、幽霊が出るんですが。」

「・・・なぜ、うちに相談に?」

「え、違うんですか?」

この店は、そういう店じゃないんですかと。
初めて来店したと思われる気弱そうな中年の男は、辺りをきょろきょろと見回しながら、席の主の顔色をうかがった。

堂長席に深く腰掛けていたはちは、ため息を喉の奥でかみ殺し、中途な苦笑いを返す。
どんな情報源で黒蝶堂に辿り着いたかは不明だが、それをさしおいても、この男は何を言っているのだろうか。いい年であろうに、何をそんなにおびえているのだろうか。

もちろん、口には出さない。

うちは古本屋だし、第一、オレはそういうのを信じちゃいないっすから。

その言葉も飲み込む。

相手の主張をまっこうから否定するのは、リスクが大きいし、相手の機嫌を損ねて論旨を失いかねない。
まずは、冷静に話を聞き、段階を追って、そんなもんはこの世に存在するはずがないと、理解させる必要があるからだ。

「・・・まずはですね」

はちが切り出した。
そのとき。

「ご安心ください!うちにご相談いただいたからにはその不安、消し去ってご覧に入れましょう!」

後ろから、声が飛んできた。
はちと男は同時にそちらを見、目を丸くする。

そこに立つ白髪の青年・氷山しろは、優しい微笑みを見せ、客人に詰め寄った。

「ほ、本当ですか・・・?」

「もちろんですよ。ね、はち。」

「おい、お前・・・」

「大丈夫です。黒蝶堂の名をかけて、幽霊騒動治めて見せましょう!」

「よろしく頼みます!」

そして、客人は帰っていった。

「さぁ、様子を見に行きますよ!」

「・・・お前、知らねぇぞ。」

ため息をつくはちに、闘志を燃やしているしろが振り返る。その顔は、いつになく真剣なものである。
彼は奥間に引っ込んだかと思うと、幾多の数字が並ぶ帳簿を持ってきた。

「ほら、今月はどう見ても赤字なんですよ。」

「・・・そうだな。」

見ずともわかる。今月に限らず、いつも家計は火の車である。

「出来ることがあるなら、仕事なんて選べないですよ。」

「・・・そりゃそうだ。」

「だから、請け負ったんです!」

「・・・わかった。」

はちはしぶしぶ、頷いた。

話は脱線するが、黒川はちは三段論法に弱い。
しろはその性質を知っており、彼を言いくるめる技術を会得しているのであった。

「堂長、出番ね。」

次は、本棚の上から声が降ってくる。
辞書のような厚みのある書物を膝に広げた少女・ゆりは、冷たい瞳の色を眼下に向けた。

「・・・どうしてこうなったんだ。」

はちは客人の置いていったメモを眼前に掲げた。
手書きの地図と、ポイントを示す黒い丸。矢印が引かれ、「午前2時から」の注意書きととれる走り書きがある。

こんどこそ、はちはため息をついた。

バカバカしいと漏らしながら、彼は呟く。

「・・・幽霊なんざ、いるはずがねぇってのによ。」

「幽霊なら話は簡単ね。利用できる物は利用しておいて頂戴。」

「それってもしかして、牡丹ちゃんの事ですか!?」

確かに幽霊と言ったら牡丹ちゃんの得意分野でしょうねと、楽しげなしろの声が反射する。
ゆりは冷笑を浮かべて答えとするだけである。
彼女はたった一言、はちをじっと見据えて言った。

「貴方たちが全てを背負う必要なんて、どこにもないの。」

【完】

ここまでお付き合いくださりありがとうございます!
「黒蝶堂ってこんな感じなのねふーん」ってな感じにおさめてくだされば幸いです。
自分の仕事を終わらせるより、みんなの仕事が終わる方がずっと大切だと、トーマスで言っていました。
結構いい話が多いです。

拍手コメント、ご訪問ありがとうございます!創作活動の励みになっています。
いつも来てくださる方々、今回初見の方々。
これからも、どうぞよろしくお願いいたしますv

スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

メニュー
twitter
    更新情報配信中
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。