【小話】(前)【更新】

こんばんは!
インフルエンザの注射をしてきました。
これで今年は罹らないはず。

というわけで、小話更新です。
前後篇の2回に分けて、更新します^^♪
内容が濃いとかそういうわけではなく、単なる気分転換の意味合いを込めてなので、
どちらも掲載したら、あとでまとめて1本にしたいな~。

↓↓よろしければどうぞ!↓↓

【(前)】

時は初冬、場所は黒蝶堂からほど近いアーケードを抜けた大通りで、道沿いに歩いていた二人が足を止めている。
彼らの目先には、片側二車線で行き交う車が流れている。一様のスピードを保ち、行進の隊列を崩すことなく風を切っていくがため、彼らが通る度、冷たい風が頬を触って、全身が冷やされる。

足を止めた原因は、道路の中央分離対付近に落ちている物体で。その正体は、大きな「元」ホウキと言ったとろか。
それは柄の部分で真っ二つに折れ、穂先はぼろぼろに痛んでいた。

通りかかった黒蝶堂の二人は、本の配達に出た帰り道であった。なぜか、側面――目の高さ程の位置が大きく凹んだ電柱がすぐ真横に立っており、更に物騒なことに、電柱の突き刺さっている地面には数滴の血痕が落ちているのであるが。
それらに気を取られながらも、白い彼が白い息を吐きながら言葉を吐く。

「魔女さんが事故ったのですかね?」

この電柱にどーん!とぶつかって、遠くに吹っ飛んだんですよと、身振り手振りを交えながら、曇りのない瞳で告げる。

「二十歳を越えたやつの台詞か!?」

隣に立つ青年・はちが鋭く指摘する。
しかし、彼は自信の満ちた表情のまま、

「だってホウキですよ?間違いないと思います!」

周囲を歩く人間が振り返って目視するほどに、元気よく答えた。



あっちをふらふら、こっちをふらふら。

はちの隣人は、道沿いの店や公園を覗いては、目を爛々と輝かせ、感嘆の声を上げ、ふらりふらりと足先を変える。好奇心がゆえに、不安定な歩きを見せている彼に、はちはいつものことながらも仕方なく気をやり、時に店の前で待ち、時に首根っこを掴みながら、帰路を進む。

――こいつのペースに合わせていたら、陽が暮れる・・・どころか、明日になっちまう。

実際に、彼のペースに巻き込まれ、朝日を拝んだことがいくどもあるはちは、引きずられたときの記憶を、その時の疲労ごと思い出し、眉間の皺を更に一線増やした。

しろが店に入っては出、出ては入りを繰り返し始めていくばくか。

「・・・いい加減にしたらどうだ。買う金だってねぇんだし、お前の行動は非生産的だ。」

と、ふわふわと揺れる白い後ろ頭に向かってはちが切り出そうとした時のこと。

ハタとしろの足が止まり、危うくその後頭部にぶつかりそうになった。

「・・・なんなんだよ、急に。」

はちを振り返る青い目の主は、「あれ、なんですかね」と指さした。
「あ?どれだよ」と、眼鏡のレンズ越しに目を細めれば、彼の肩越しに見える風景の、自転車二台が併走できる程度の道幅一杯に、黒い物体が広がっていた。

「・・・なんだありゃ、ゴミか?」

はちの脳内に、一昔前まで使われていた黒いゴミ袋が想起される。しばらく見ないが、あれは使用中止になったんだったっけか。確か、中身が見える方がいいとかなんとか。

はちはその理由を、隣人に尋ねようとした。
が、しろの姿は忽然と消えていて。

「だ、大丈夫ですか!?」

「お前の頭が大丈夫か!」

慌てて駆けだしたところで、彼には追いつけなかった。
目にも止まらぬ瞬発力を見せたしろに、遅れて走り出したはちは息切れしながらも、間髪いれずツッこみをいれる。その理由は簡単で、道端のゴミ袋を抱え上げ、声を掛けながら上下に揺らす彼の姿は滑稽で、少々狂気じみたものを感じたからだ。周囲からの視線が突き刺さるようで、酸素が薄くなったがごとくに息苦しい。彼の腕から黒い物体を引きはがそうとしたそのとき。

はちは、目を剥いた。

それが、ゴミ袋でないことに気づいたからではない。
それが、黒装束に身を包んだ丸眼鏡の女性であったからだ。
と、長い睫がふるふるとふるえ始め、開かれた瞼から覗く黒目が焦点を結んだ。

「きみたち」

彼女はむくりと起き上がるやいなや、
黒く、大きな三角帽からのぞく瞳を、両者に向けた。

「・・・な、なんすか?」

「私のすいっちゃんを見なかった?」

額に切り傷が走り、そこから垂れ流され続けている血は割れた眼鏡を汚している。彼女は生気のない青い顔に栄えた、血の滲む唇を拭った。

傍らには、不気味な装飾が施された長い杖のようなものが落ちていた。

【続】


後編に続きます。
完結したら、タイトルも公開しようかな~と。


お付き合いくださりありがとうございましたv


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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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