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【小話】黒蝶堂の食卓(前日譚)【更新】

まずはこちらから⇒黒蝶堂の食卓

↓つづきがこれです↓

【黒蝶堂の食卓(前日譚)】

「お願いがあるのだけど。」

墓地を訪れた少女は、中央の広場にて一休みしていたツインテールの少女の顔を無感動に覗き込んだ。木製の古びたベンチの上で仮眠をとっていた彼女は突然の来訪者に跳び起き、着物の袖で口元を拭った。
ツインテールの少女・牡丹は、珍客にその薄い青色の瞳を丸くする。珍客・黒蝶堂の少女ゆりは続ける。

「貴方の舎弟を貸して頂戴。」

「獅子之丞のことか。いいぞ。」

間髪入れず、牡丹が二つ返事で答える。朝咲寺の獅子之丞は牡丹の昔なじみで、ゆりには”寺院領の忠犬”と呼ばれている。

牡丹は目をこすりながら、ベンチに座り直した。

「珍しいな、ゆりがあたしにお願いだなんて。」

「迷惑なら構わないわ。」

「素直じゃないんだぞ。いつ貸せばいいんだ?」

「明晩よ。」

「わかった。で、何をさせればいいんだ?」

頼めば大抵のことはやろうとするぞ、あいつは。

牡丹は伸びをし、背負った2本の卒塔婆の位置を調整する。彼女の周囲には青白い光の玉が飛んでいるが、昼間の日光が射しているがため、その光はあまり目立ってはいない。

血色がよく健康的な牡丹とは対照的に、白いを通り越して青白い顔色の少女は答える。

「簡単な事。犬でも出来るわ。」

「それは有り難いんだぞ。」

彼女は、とある指令が書かれた半紙を、牡丹へと渡した。

「それを命じてから、寄越して頂戴。」

「わかったんだぞ。」

メモを一瞥した牡丹は、その意図がわからず、はてと首を傾げたが、

「ゆりの考えることだ。良くも悪くも、きっと意味があるんだろうな。」

へらりと冗談めかした。
一方のゆりは、ほんのわずかに柳眉を寄せた。

「悪用はしないわ。」

今回は、ね。
冗談を言っている風もなく断りを入れた彼女は、くるりときびすを返し、深見ヶ原墓地をあとにした。

「相変わらずな奴なんだぞ。」

牡丹は肩を竦めながらそう呟くと、再度ベンチに横たわり、朝咲寺に赴く段取りを考え始めたのであった。



【了】

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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