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【小話】紺碧の攻防【更新】

「・・・おい、重てぇぞ。」

「人って漢字を知ってますか?」

しろが、宙に大きく文字を描く。
はちは、遙か深いため息を吐く。

「一人じゃ人にはなれないんですよ、きっと。」

「一人立ちしてる人間は、たくさんいるだろ。」

途端、背中の支えを失ったはちは後方へと倒れた。

「そう見えるだけなんですよ。」

青い瞳で弧を描いたしろが、仰向けになったはちを見下ろす。後頭部を強かに打ち付けたはちは、「失って初めて気づく、とか言うんじゃねぇだろうな?」と、眼鏡の位置を整えつつ吐き捨てた。

「おじいちゃんの背中には、まだ及ばないですね。」

今は亡き黒蝶堂の先代に思いを馳せたしろは、起きあがったはちの背中を見て、頭上に電球を灯した。

「・・・んな簡単に、追いついてたまるかってんの。」はちは額に指を添え、肩越しにしろを見た。

「あと、献立を人の背中で計画するんじゃねぇよ」と刺せば、「バレてましたか」と、しろは微笑んだ。

「生きていくためには、考えなきゃいけないんですよ。」

「・・・お前の考え方は、方向性が間違ってると思うがな。」

「僕はいつだって、全力投球しているだけですよ。」

「剛速球を受ける奴のことを慮ったことはあるか?」

「気がつくと、いつもキャッチャーがスタンバイしているんですよ。」

「・・・延々と後攻を待つ試合なんざ、最初から受けるべきじゃねぇよ。」

口の端を歪めるはちの顔面に、皮と土の匂いが押しつけられた。「ならば」と、しろが白に赤の網目を握りしめ言う。

「本当の勝負といきましょう!」

「・・・受けて立とうじゃねぇか。」

「”勝った方が、負けた人の命令を聞く”ってことで!」

「・・・だから、普通は逆だっての!”ふつう”は、な!」

どうせ客はこないのだ。幸い、黒蝶堂の監視者である少女もいない。彼らはそれぞれ道具を持って、中庭へと赴いた。

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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