スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【小話】L判の水晶【更新】

「…ちょっと、こっちにこい。」

首を傾げ寄ってきた肩を叩き中腰にさせ、反対側に向かせると、歪んでいたシャツ襟を正した。押しやった背中に直ったぜと投げれば、青い彼は間髪おかず、奥間の方向へ駆け出して行った。

嫌な予感が、眉根を寄らせる。

間も無く、上擦った声が耳に飛び込んできた。

「おじいちゃん、聞いてください!」

青い背中は、仏間で弧を描いていた。仏壇には、祖父の白黒写真が飾られている。いつ撮り、いつ並べたのか覚えていないその写真を前に、「はちは立派に成長しましたよ!」と、自らのカラーを指し示し、見せつけているかのようであった。

「お前は、オレの親か!」

予感は的中するんだなと、非科学的な思考に肩を竦めつつ、突っ込まざるを得なかった。
振り返った瞳は、至極澄み切っていて、目が水晶を持つことを強く思い知らされるほどである。目を上下させ、口を引き結んで顎に指をかける彼である。彼の考えが、少しだけ理解できてしまった。ゆえに、フォローの次句を口にする。

「…勿論冗談だぜ?」

「聞いてくださいおじいちゃん!」

しまった。
自分の思考速度は、彼の舌を捉えることができなかった。

「はちは少しだけ、ジョークを言えるようになりました!」

写真を引き寄せ、L判の視界が向けられる方向に広がるかと信じているのか、写真をこちらに向けた彼は、指を指してきた。

「子どもの成長っていくつになっても嬉しいですね。」喜々として話しかけ、微笑むしろに、

「…同い年なのにガキ扱いしてんじゃねえよ。」

第一、報告したところで届くわけがねぇだろと、口が歪むのを感じた。

スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

メニュー
twitter
    更新情報配信中
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。