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【小話】ズレゆく過去【更新】

暖簾をくぐった途端に広がった光景に、黒川はちは目をシロクロさせる。円形に隆起した紙屑の中央で、氷山しろはへたり込んでいた。

「…いったい、なにがあったんだ?」

呼びかけるも、しろはピクリともしない。はちはしゃがみこみ、白くて薄い紙切れを拾い上げる。すると、真中にアラビア数字、下方に選ばれた星の頭文字が記されていた。眉を顰めたはちは、つかみどころの無い、輪郭の不確かな違和感の正体を探ろうと眼球を左右に揺らした。すると、視界に入った壁掛けのカレンダーに焦点が合った。

「…そういうことか。」

気づいてしまえば、答えは簡単だった。不整合に、ざわつきを覚えたのだ。しろの肩を叩き、虚ろな瞳の意識を呼び起こす。

「あれ、どうかしたんですか?」

「…そりゃ、こっちの台詞だ。」

この日付と曜日は、なんでズレてるんだ?と、はちが問えば、しろは、未来になにか異変が起きているとしか思えませんよ!と、頭を抱えて再度うずくまった。

欠片を全て集めたはちは、さらに理解を深める。これは、年を誤った、単なる印刷屋のミスに違いない。破られたカレンダーは、一月一日より十二月三十一日まで、3年前を正確になぞっていた。祖父の亡くなった日付と曜日は、忘れたくとも忘れられない。

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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