【小話】薄雲の洞窟【更新】

長い長いトンネルの先には、きっと、いいことがあるんですよ。

しろが脈絡のない話を持ちかけて来るのは、もはやお家芸と言っても良い。

…トンネルっつっても、色々種類があるだろ。

それに付き合うのは、脈絡を少しでも持たせたいから、ではない。こんにゃくに針金を埋め込んで人型を作り、ダンスをステップから指導する…そんな慈愛は持ち合わせがない。単に、暇つぶしになるからだ。なにせ、ここには、だらだらと流れる時間だけはある。

はちのトンネルは薄暗くて寒そうですね。分岐も少なさそうですし。

…オレは、既存のやつで十分だ。

自分で掘って行くなんざ、疲れてかなわねぇよと肩をすくめれば、

大丈夫です。スコップとヘルメットは準備しておきましたから!

と、黒蝶堂の文字が刻まれた道具をどこからか取り出し、ヘルメットをかぶりスコップの縁に足を掛けた。

安全第一で、怖れず進んでいきましょう!

ヘルメットに取り付けられた電球が、鋭く点滅し、思わず目を閉じた。

【了】

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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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