【小話】はやるかわ【更新】

右手の甲、人差し指と中指、中指と薬指の付け根から手首にかけて、2筋の川が流れていた。流行病ですかね?と、左手を電灯にかざして裏返すしろは首を傾げる。彼の手にも同様に、2筋の川がさやさやと音を立てている。紺碧と深緑が、彼の青い瞳に反射する。対して自分の川は、濃い橙と明るい緑だ。今朝方、「大変ですよ、はち!」の声で気づかされてから一通り驚き、騒いだ後である。今更これがなんなのかを考えるつもりはない。考えても答えが見あたらないことを、現在進行形で痛感しているからだ。

「・・・痛くもねぇし、かゆくもねぇな。」

「その台詞は、殴られた人専用ですよ。」

塗りたてのペンキのように発色が良く、薄まることはない。一定の幅を保ったまま、支流を作ることなく流れている。血管でもなければ、ただの絵でもない。原因及び解決策を知っているだろう物知りな少女を探したが、今日に限って、書棚の上から姿を消している。どこで油を売ってるんだろうかと、肘を突くとため息が一つこぼれた。

【了】


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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

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説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

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