【小話】とりあえず世界を救ってみようじゃないか【更新】

つま先に触ったのは、白黒テレビが常識だった時代に始まった、少女向けアニメーションの玩具であった。拾い上げたしろが振ると、調子外れではあるが高音の、軽やかなフレーズが流れた。

「今も昔も、魔法使いは、まず形から入っていくんですね。」

「・・・見てくれが変わっても、中身は変わってねぇんだろ?」

変身することに何の意味があるのだろうかと、堂長席のはちは首をひねる。対して、杖を器用に回転させたしろは、人差し指を振り、「甘いですよ、はち。」と目を細めた。

「さっきまでの自分とはひと味違いますよって、伝えるためです!」

「・・・これから倒す敵キャラのために、わざわざご苦労なことだな。」

「貴方も変身したら、気持ちが分かるんじゃないかしら?」

女児用の玩具を中心にあれこれと語る成人男性のつむじを見下ろした少女は、冷たく細く笑って指を宙に舞わせた。

【了】


スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

メニュー
twitter
    更新情報配信中