スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【小話】しゃれの話【更新】

【しゃれの話】

「315円になります。」

支払いは任せましたよ、としろがにこにこと笑う。はちが眉間にしわを寄せた。

なぜお前の、ガラクタにしか見えない「雑貨」とやらを、オレが買わなきゃならんのだ。この、間の抜けた表情のウサギの置物は、一体何に使うんだ?「かわいいですよね!欲しいですよね!」って、お前は女子高生か。
「チョーカワイインダケドー。アリエナクナーイ?」ってか。
いい加減いい年なんだから、そろそろやめておけというオレの助言は”シカト”するんですか、そうですか。だからオレは店の外で待つって言ったのに、ついてきてくださいなんて。何かもらえるのかと思いきや、結局こういう事かよ。最初から奢らせる魂胆だったんだな。

仕方なく、財布を覗けば、1000円札が一枚。小銭は10円玉が一枚に、1円玉が2枚。
はちはしばし唸った後、1000円札を差し出した。
子供のころは500円玉を使う事に抵抗のあったはちだが、今も大して変わらないようだ。

「1000円からでよろしいですか?」
店員の女性は、若く綺麗な人だ。はちはなおさら恥ずかしくなった。オレじゃなくて、あいつが欲しがってるんです。オレはこんなファンシーな物を飾るなんて趣味は、持ってないんだよ。なあお姉さん、誤解しないでくれよ?

聞かれてもいない言い訳を、楯のように並べ立てる。少しだけ、ぼんやりしてしまったようだ。

「お客様?」

女性が困ったように笑う。

はちは、はっと我に返り、

「ああ、1000円からで。すんません。」

咄嗟に返した。

途端、後ろのしろが噴き出した。顔を真っ赤に染め、腹を抱えて笑っている。
はちは商品と釣銭を受け取り、唖然とする女性に軽く会釈を返しながら、笑いが止まらないしろの、首根っこをつかんで店を出た。

店先で、その頭をはたいた。ごつんといい音が響く。

「何するんですか!」語気は強いが、口元は緩んだままだ。

「いつまでも笑ってんじゃねぇよ!誰のせいだ、誰の!」

「はちのせいでしょう!?」

「え?」

「冗談のつもりで言ったのでしょう?あまりの寒さに笑うしかなかったのですよ。」

はちは腕を組み、しろの意を汲もうとした。が、思い当たらない。
しろは構わず続ける。

ゆうもあが大事だと、ゆりちゃんに言われてたじゃないですか。なかなか初歩的ですが、自然に出来ててよかったと思いますよ。店員さんには伝わってませんでしたがね。」

しろはそう言うと、はちの手から包みを奪い取り、走った。

なんてくだらない話なんでしょう!?


【了】
スポンサーサイト

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

説明

秋雨

Author:秋雨
人間と憑者のライトホラー物語。

現実世界その他諸々の事象とは、一切関係ありません。著作権は放棄していません。なにかありましたら拍手からお願いします。

【管理人】

秋雨。成人済。

【主な登場者紹介】

黒川 はち

古書店黒蝶堂堂長。
気苦労の絶えない受難者。

氷山 しろ

黒蝶堂副長。
電波的言動の目立つ青年。

ゆり

黒蝶堂憑者。
冷静沈着な少女。

深見ヶ原 牡丹

深見ヶ原墓地憑者。
猪突猛進イノシシ娘。

カコ

川辺の憑者。
人間嫌いで鬼桐の部下。

鬼桐

煙草が手放せない隊長。
熱くなると誰にも止められない。

黒川 伊織

はちの祖父で先代堂長。
3年前に他界。

メニュー
twitter
    更新情報配信中
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。